鳩山総務相はなぜ西川更迭に執念を燃やすのか | 永田町異聞

鳩山総務相はなぜ西川更迭に執念を燃やすのか

政治家は大衆をごまかし、扇動する言葉をよく使う。「正義」もその一つだろう。


総務大臣の鳩山邦夫さんは「正義」のために、日本郵政の西川社長を首にすると言い張っている。


1948年生まれ、幼少年期、勧善懲悪のチャンバラ映画や、月光仮面に夢中になった世代とはいえ、そうやすやすと「正義」を口にするのは、おやめになったほうがいい。


すべて相対的な現実の世界において、善か悪か、正か邪かを決めつける確たるモノサシなどない。法を犯したら裁かれる社会の仕組みがあるだけだ。もちろん、絶対的な正義の体系をを定めたイデオロギーや神学論争は別の話である。


さて問題は、なぜ鳩山さんが、内閣不一致を覚悟のうえで西川更迭にかくもこだわるのかということだが、総務省の旧郵政系官僚の思惑と強力な後押しが背後にあることは5月23日の記事 でふれた。


旧郵政系官僚のねらいは、西川社長の後任に郵政出身の團宏明副社長を就け、社長ポストを郵政系官僚の天下り指定席にすることだ。


大臣が官僚の「ご説明」「お世話」によって取り込まれ、省庁の代弁者になることはいつものことだが、それにしても盟友、麻生首相を困惑させるほどの執念はなんとも異常である。


ここで、永田町・霞ヶ関界隈でささやかれる噂話が妙に信憑性を帯びてくる。


障害者団体向け郵便割引制度の悪用事件。かんぽの宿 と並んで、日本郵政攻撃の格好の材料となっているはずのこの事件が、鳩山邦夫にとっては、郵政系官僚に弱みを握られるツボになっている、という皮肉な見方である。


キーパーソンは民主党の牧義夫議員だ。彼はかつて鳩山邦夫の秘書だったが、2000年の総選挙で政界入りした。前述の事件で逮捕された障害者団体「白山会」の会長とは、鳩山の秘書だったころから親密なつき合いを続けてきた。


今回の事件に牧の関与があったのではないかと取りざたされるなか、かつての親分、鳩山邦夫としては痛くもない腹をさぐられたくはないだろう。


猛烈に日本郵政攻撃をしている当の本人が、郵便割引不正事件に関する疑惑の議員との過去のつながりを掘り返され、妙に騒がれては政治生命にも関わると心配しても不思議ではない。


牧議員については一時、新聞に実名が出ていたが、最近は「政治家」という表現で、疑惑追及のトーンが下がったように感じられる。


郵政系官僚は牧議員に事件への関与があったかどうかの情報を握っているはずである。もともと、牧議員にやましいところはないだけなのか、郵政系官僚がかん口令を敷いているのか、そのところは確認のしようがない。


今日の各紙に一斉に、総務省事務次官人事の記事が掲載された。鳩山総務相は旧郵政省出身の鈴木康雄を事務次官に昇格させる人事を固めたという。


旧郵政省出身の事務次官は7年ぶりのことだ。小泉政権以来、郵政民営化がらみの不満がたまっていた郵政系官僚グループにとって、久しぶりに溜飲が下がる思いだろう。


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