補正予算を叩いてみれば、政権交代の音がする? | 永田町異聞

補正予算を叩いてみれば、政権交代の音がする?

官僚の余生を100倍楽しくする天下り団体を、政権交代があっても守り抜くため、各省庁は、涙ぐましいほどに知恵を絞る。


肝心なカネの使いみちより、カネと組織と権限の確保が主目的になった倒錯的な脳細胞の働きは、この国の知的資源の浪費といえる。


霞ヶ関は、衆院から参院に審議が移った21年度補正予算案で、基金という名の、別財布を30も増やし、計46基金に4兆3674億円もを貯めこむ魂胆であることは、すでに5月8日にふれた。


今回の補正は、経済危機対策を大義名分に、国が10兆8000億円もの新たな借金をして、14兆7000億円を大盤振る舞いしようとするものだ。


「とにかく何か予算を上げろ」という、選挙直前、麻生官邸の大号令。いくら、頭がいい官僚諸氏も、今年度のうちに投資できる新政策をすぐには思いつかない。そこで、3~4年の間ならいつでも使える「基金」という名のプール資金を天下り先に振り分けるという裏技を考えた。


それなら、たとえ民主党政権ができて、天下り団体への補助金をカットされてもしばらくは安泰だ。と考えたのかどうか、単年度主義を全く無視した基金のオンパレードに、参院予算委では民主党議員から「2年も3年も先のことまで今の時点で決めておくのか。憲法に違反するのではないか」との声も出た。


それに対する与謝野馨財務相の答弁が、政権中枢部の心中を垣間見せる。「民主党が政権を取ることを前提においているとしたら、少々おごりがあるのではないか」。


いつも淡々としたお方でさえ、そこまで政権の移転を意識しているのだ。それなら、今回の超大型補正に「次期政権が使えるカネは残さないとの思惑あり」と勘ぐられても仕方ない。


その与謝野財務相の答弁によると、基金の振り分け先は地方自治体へ2兆1318億円、独立行政法人に3250億円、公益法人に841億円、その他の法人等に1兆8265億円。その他の法人というのはいわゆるファミリー企業の類だろう。


つまり、2兆2356億円が独法、公益法人とそのファミリー団体に配分されると考えていいのではないか。


ところで、今回の補正予算で、国債の利払い額は768億円も増えることになる。何年もの未来にわたる予算額を先に渡すわけだから、金額は膨らみ、その分、利払いは増えるのが当たり前だ。


基金を得た団体は、しばらく使いみちのないカネを国債などの購入で運用する。ということは、天下り法人などの投資に使う資金を、国民が利子を払って提供するという奇妙な図式になる可能性が高い。


基金を配分される団体のうち、雇用対策名目に7000億円を受ける中央能力開発協会は、最近、会計検査院に飲食など約3500万円の不正支出が指摘されたばかりの問題法人だ。


理事長は元厚労省労働基準局長、3人の常務理事も厚労省OBである。無駄遣いの前科があるのに、7000億円もを、「はいどうぞ」と預ける感覚は民間にはない。


天下りといえば、20日の朝日新聞に、毎度おなじみの、霞ヶ関隠蔽体質をうかがわせる記事が載った。


所管官庁のOBが五代続けて天下りしている「指定ポスト」が338法人、422ポストにのぼることが、総務省の調査でわかったという。


3月の調査で95法人、104ポストとしていたのが一気に、はねあがった。いろいろ言い訳をしているようだが、3月のが「ごまかし」だったという疑いが濃厚なのである。


総務省が「発表した」でなく「調査でわかった」という記事の書き方からいって、記者クラブで発表したものではないようだ。もちろん、こんな内容を進んで発表するほど総務省は、しおらしくないだろう。民主党の調査チームが強く求めたから、仕方なく本当のデータを出したのだ。


いざ政権交代が実現して、ごまかしがきかなくなると、立場が悪くなるとでも考えたのかもしれない。


敵失にも関わらずいっこうに自民党支持率がアップせず、民主党政権誕生の足音に戦々恐々とする霞ヶ関官僚の今の姿が、このあたりにもうかがえる。


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