麻生首相を反面教師に、少年よ辞書を引こう | 永田町異聞

麻生首相を反面教師に、少年よ辞書を引こう

人の国語能力を云々できた義理じゃないが、今日の朝日新聞に悪乗りするなら、麻生首相の発言や文章に誤読、誤字、誤用が多いのは気になることの一つだ。


朝日新聞が取り上げたのが「踏襲」を「ふしゅう」と読む間違いである。11月7日の参院本会議で戦争責任に関する村山首相談話を「ふしゅうする」と答弁。10月15日の参院予算委でも慰安婦問題での河野官房長官談話を「ふしゅうする」と答えている。


筆者が気になったのは、それだけではない。「低迷」を「ていまい」と言っていたのを何度か聞いた。「ていまい」で辞書を引くと、「弟妹」しかない。それでは意味が通じないから「低迷」のことだったのだろう。


麻生首相の書いた文章のなかでは、文芸春秋11月号に掲載されたあの「強い日本を!」という論文にこういうくだりがある。


「もとより私も欠点の多い人間だ。失言を心配してくださる方々も少なくない。味方も多い分、出る釘だからなのか、敵も多く作りすぎた気もする」


「出る釘」とは「出る杭」のことなのか。それとも「出る釘」という言葉が別にあるのか。さっそく、辞書を引いてみたが、残念ながら広辞苑に関する限り「出る杭は打たれる」という表現しか記載がない。その意味するところは、「すぐれて抜け出ているものはとかく憎まれる」ということである。


支柱や目印とするために地中に埋め込む「杭」は高さが揃っていないと不都合なので、飛び出た「杭」を打って調整する。そこから生まれたのが「出る杭は打たれる」だろう。「釘」の高さを揃える必要があるとすれば、せいぜいパチンコぐらいだ。


かりに、自分はすぐれた意の「杭」ではなく、キャラのたった「釘」なのだということなら、「釘」のところに傍点でも付けておいていただくと分かりやすかった。


朝日新聞によると、田母神論文問題もあり、今後も首相が「ふしゅう」を繰り返すのではと気をもんでいるという。

新聞を読まないと公言する首相のこと、朝日のこの記事にも気づいていないとしたら、秘書官が「総理、一般的には“とうしゅう”ですのでよろしくお願いいたすぃます」とでも言えばいいだけのことだ。


そのときに麻生首相が「おおそうか、オレ最近、漫画と英文しか読んでねえからな」とでも言えば、さすが器の大きい宰相と再評価されるかもしれない。


ただし、若者の国語レベルの低下が指摘される昨今、麻生首相にはぜひともお願いしたいことがある。


辞書を引く習慣をこどもたちに提唱していただきたいということだ。「オレもこれからはちゃんと辞書を引くから、お前らもやれよ。国語は大事だぜ」と麻生節を唸ってくれたら、少しは教育の再生にも寄与するのではないか。


さて、定額給付金の迷走もあり、麻生内閣の支持率はジリジリと下がり続けている。定額給付金を「評価しない」人が共同通信の調査では58%、朝日調査で63%にものぼり、経済危機を理由に解散を先送りにした麻生首相の緊急対策と、国民の期待との乖離が浮き彫りになった。


加えて、解散先送りで野党が対決姿勢を強め始めたなか、第2次補正予算案の提出などをめぐり今後の国会運営は極めて難しい。経済対策で支持率を上げたうえで解散に持ち込みたい麻生首相は、袋小路に追い詰められてきたように見える。


朝日の「ふしゅう」のような記事が出るようでは政権末期だ、という声も聞こえる。


公明党との訣別を覚悟するくらいの気持ちで、「定額給付金」を白紙に戻し、麻生首相自身が本来やりたいはずの真っ当な政策に取り替えるしか、活路を開く手立てはないように思うのだが…。 


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