共謀罪・国内法の整備〜「国際組織犯罪防止条約」締結不可能な理由? | あらやす日(本)誌

共謀罪・国内法の整備〜「国際組織犯罪防止条約」締結不可能な理由?

2000(平成12)年、

国際連合・総会で採択された国際連合条約である、

「国際組織犯罪防止条約」(パレルモ条約)は、

重大な犯罪の共謀、資金洗浄(マネー・ロンダリング)、

司法妨害などの犯罪を犯罪予防も含めて防ぐこと締約国に義務づけた。

 

この前年、1999年、

日本ではこの条約締結の準備のために、

「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(平成11年法律第136号)

が制定されているが、

この法律はパレルモ条約を批准できる国内法とはいえず、

その後、議会に提案された拡充的な法律案はまだ制定されていない。

 

今、国連のパレルモ条約ができてから15年以上になり、

180ヵ国以上が条約の締結国になっているが、

さて、

はて、

なぜ、

日本はこの条約が締結できないのか?

 

この国連連合条約を締結してない国は。

先進諸国7カ国(G7の国々)では日本だけで、

国連の全加盟国の中で11カ国だけだ。

 

日本は条約を締結しやすい普通の国ではないのか?

日本の変わった憲法や国内法等のせいか?

条約遵守のために国内法の元の実務で運用できる人材がいないためか?

条約締結に対して抵抗勢力があるせいか?

 

たしかに、

テロ組織に対応するこの「国際組織犯罪防止条約」は、

「共謀罪」を盛り込んだ国内法の整備を締結の条件にしているようだ。

 

この条約の義務を履行して締結するための法整備の一環として、

組織的な犯罪の「共謀罪」を創設する提案が、

2017年・第193回国会で内閣からなされたが…

国会やメディアでは、

締結が常識になっている「国際組織犯罪防止条約」を、

日本が締結されない理由、問題点をすべて棚上げにして、

国内法の「共謀罪」の細かい条文だけを問題視しているのは…

なぜなのか?

 

そもそも、

国内法の条文等の枝葉末節ではなく、

まずは、

「国際組織犯罪防止条約」が締結できない明確な理由について、

国会ではメインの論点として議論し、

政治家、官僚、国際法学者、メディア等は、

この議論を重大なテーマにすべきだろう。

 

たしかに、

日本以外の多くの諸外国では、

国内法で「共謀罪」が存在して、

条約締結していても、

条約ができたここ十年くらいを見て、

条約を締結しているフランス、イギリス等の多くの国では、

悲惨なテロ事件が発生している。

 

実際、

国連の「国際組織犯罪防止条約」締結よりも、

諜報活動の強い諸外国と個別に関係を強化するだけでなく、

諜報活動が先進諸国でもっとも弱体化している日本の能力・ノウハウ等の拡充も重要だ。

 

条約締結できない理由よりも、

諸外国よりも安全保障をより高めることが国内法整備にあることを明確にして、

テロが発生している諸外国と日本の国内法を比較しながら、

4年後に開催される東京五輪のために諸外国よりも安全保障をより高める、

国内法整備等の必要性を議論すべきだろう。

 

 

【蛇足1】

・共謀罪的なテロのような計画→行為の流れでは、計画・準備段階で密かに綿密な言動・行動等があり、多くの資金や多くの(一見して普通に見える)人々の労力・技術、時間等が投入される。

 

共謀(2人か3人以上で)的計画

 ↓

準備的行為(資金・武器入手等)

 ↓

加害的な行為

 ↓

未遂または被害・損壊等の発生

 ↓

逃走・逮捕妨害等の行為

 

・通常、多くの犯罪では、刑法等を適用できる「加害的な行為」が発生し、未遂または被害者等が出た時点で警察等の捜査が始まるので、犯罪等を予防できない。共謀的な「計画」段階で捜査することは、多くの被害者をうむテロ的な組織犯罪の予防になる。この段階は、昔でも今でも手紙のようなメモがあり、現代はEメールも証拠的な情報になり、口頭等でのやり取り段階での本格的な捜査が始まることになる。

 

【蛇足2】

・今年3月中旬から4月末まで、1ヶ月半の期間で、立川市周辺(東京都)で、道路の交通事故を防ぐために設置されているカーブ・ミラーが80枚以上破壊されている(ここまでしつこく見つからずに現行犯逮捕等を避けて計画的?に破壊するのには…複数の共謀的な計画性が必要だろう)。これらの破壊行為で交通事故の増加可能性が高まり、また、修復に1枚5万円以上かかるので多額の器物損壊になっている。

最近、妙な交通事故も多発しており、神社仏閣の建築物へ破損、放火(東京では住居内火災の3割、屋外火災の5割は放火事件)、交通遅延になる電車進行妨害等が起きている。日本国内では爆発物・銃等を使用しない工作的・テロ的な事件が起きる可能性も想定することは、決して異常な想定ではないだろう(綿密な計画を練る共謀的な犯行を想定しないこと自体、異常な治安の事態だろう)。