微量な放射能でも子供には危険 | あらやす日(本)誌

微量な放射能でも子供には危険

ドイツ政府(ドイツ連邦放射線防護庁)が、
原発推進派と原発反対派の両グループを入れて、
複数の原発周辺地域を合同調査した。

【参考】
市民エネルギー研究所による南ドイツ新聞(SuddeutscheZeitung)の記事翻訳
http://www.priee.org/modules/pico2/index.php?content_id=12


ドイツ国内の16基の原発とその周辺の41市町村について、
1980年~2003年にかけて調査は行われた。

その結果、
5才以下の1592人の子どもがガンになり、
その中の593人が白血病であった。

原発の5km以内に住む子供(5才以下)の白血病の発症率が、
平均値よりも倍以上になっていることがわかった。

なお、
この調査中に原発で事故は起きていないので、
原発周辺の放射線量値は決して高くない。
ドイツの核施設周辺での許容量は0.3ミリシーベルト/年で、
実際の汚染はこれよりも低く、
ある意味で非常に低い値だ。

しかし、
調査結果から見る微量な放射線量と白血病の関係は明らかだった。

原発は、
事故があってもなくても、
つねに微量の放射能を放出しているのだ。

微量な放射能でこの調査結果だから、
ましてや、
高濃度と言える10~20ミリシーベルト/年で、
子供には安全だとは断じて言えない。

年間100~200ミリシーベルト以下は実証されていない!ので無視するがごとき、
粗雑なへりくつは机上の空論でしかない。

【参考】
LNT(しきい値なし直線)仮説
http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/lnt.html


ドイツにはこのような調査結果があるから、
放射能の許容基準は厳しくし、
また、
日本の原発事故にも敏感で、
ドイツ気象庁は放射能飛散予測を毎日ネットで公開している。

原発大国のフランスに対抗して、
ドイツには反原発的な意識があるのかもしれない。

日本の隣国中国も原発建造ラッシュで、
このまま行けば中国は世界一の原発大国になりかねない。

日本もドイツの姿勢を学ぶときだろう。

もし、
今、福島がドイツにあったら、
ドイツ政府は福島県内の70%以上の子供と妊婦を、
強制避難させているかもしれない。

子供は大人よりも放射能に弱い。

ドイツの試算によると、
乳児(1歳未満)~幼児(1~2歳未満)は大人の約10倍、
2~7歳未満の子供は大人の約5倍、
7~12歳未満の子供は大人の約2倍、
放射能を体内に蓄積してしまう可能性がある。

また、
妊婦や若い女性も放射能に弱く、
特に乳ガンは他の臓器のガンよりも、
比較的弱い放射線で発症しやすいようだ。


【参考】乳ガンと原発との関係
1950年から2004年までの間に日本の乳ガン死亡率はおよそ5倍になった。ほぼこの時期にアメリカも2倍になり、アメリカの統計学者J.M.グールドが調べたところ、原発との相関関係を見つけたという。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=163853
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=228354


企業において、
製品・サービスの品質標準化は進んだが、
国家運営・行政サービスの品質の標準化は進んでいない。

そもそも、
国や行政には「サービス」という観点すらないのだろう。

しかも、
浅い経験と勘に依存し、
そして、
地方自治体はこの国の方針に依存し、
思考停止状態のようだ。


平穏な時代にはわからなかったことが、
有事になると、
白黒がよくわかる。

蓋が取れて、
腐っているものもよく見える。

政府は放射線の許容レベルを簡単に引き上げ、
それに対して、
日本の医師会や医学部の学者らは沈黙し、
この不作為で暗黙に現状を肯定している。

子供を大事にしない国や社会に未来はない。
大人もだが…。


【蛇足】
ピッツバーグ医科大学・名誉教授アーネスト・スターングラス博士(放射線物理学)
低放射能等(農薬等の広範囲な影響も?)の人体への悪影響についての検証
http://fujiwaratoshikazu.com/2011disaster/