今回は、
大阪府のお葬式についてです。
あくまで僕が見聞きした範囲ですが今回も、「如是我聞」ということでお伝えします。
●友引のお葬儀には「いちま人形」
友引の日のお葬儀は縁起が悪いと考え、避ける習慣が各地にありますが、
葬儀の日程などの都合でどうしても友引の日に葬儀をすることになるときには、
大阪では「いちま人形」と呼ばれる友引人形を亡くなった人へのお供えとして、
一緒にお棺に納めます。
これによって、友引の暦でも身代わりをしてくれるので、
葬儀を行うことができるとされているのです。
●黄白の水引に放生の儀式
大阪府は、大阪市内とそれ以外の市町で葬儀の方法が大きく違っている地域でもあります。
大阪市内では葬儀会館など葬儀専用の式場での通夜や葬儀が多く、
それ以外の地域では、自宅から通夜や葬儀を出すことが多いそうです。
また南東部の地域では、現在でも放生の儀式を行うところが残っていて、
鳩などの鳥を放すことで、亡くなった人の冥福を祈ります。
京都と同様大阪府の多くの地域では、黄色と白の水引が使われています。
葬儀で黄白の水引を使うのは、黒は禁裏(宮中)で使用されていた「玉虫色」に似通っているため紛らわしく、その次に「喪」を表す色である黄色を使い始めたことから由来しているとも言われています。
●小さな骨壷だけど丁寧に和やかに
関西一円では、骨上げの際、きれいな骨を優先して拾って骨壷に納めます。
なので、灰まで全て集めておさめる関東とくらべて、関西の骨壷は小さなものとなっています。
とはいえ、決して亡くなった人の遺骨をいい加減に扱っているというわけではありません。
骨上げのときには、ほかの地域と同様、骨壷の中で身体が逆さまになってしまわないように、
足の部分の骨から順番に上の部分の骨を納めていき、
最後に喉仏の骨といわれている第二頸椎の部分と頭の部分の骨を納めます。
特に大往生の方の骨上げでは、斎場の係員の人が主導となって、
火葬後にそれぞれの骨についての説明をしてくれたりするとか。
それに相槌を打ったり、質問したりしながら和やかに行われる骨上げなのだそうです。
●精進料理「仕上げ」にも「逆さごと」
大阪では、初七日法要のあとの精進料理を「仕上げ」と呼びますが、
その精進料理に欠かせない高野豆腐や厚揚げを、普段の四角ではなく三角形に切り、調理します。
これは、普段と逆のことをすることで、死と日常を切り離したいと願う「逆さ事」の一種と考えられます。
その他の逆さ事には、他に屏風を逆さにして立てかける「逆さ屏風」や、
ぬるま湯を作るときに、水にお湯を入れて作る「逆さ水」などがあります。