今回は一気に飛んで九州、
福岡県のお葬式についてです。
あくまで僕が見聞きした範囲ですが今回も、「如是我聞」ということでお伝えします。
●遺族への思いやり?近親者は「夜伽見舞い」を渡す
福岡県では、宗派にもよりますが、
通夜の時(特に読経中)に遺族及び弔問客は焼香をしない
というのが通例だそうです。
また、近親者が通夜に参列する際は香典のほかに、「通夜見舞い(夜伽見舞い)」といって
別途品物(お菓子やお酒、缶詰など、主に食べ物や飲み物)を用意して
遺族に渡す風習があります。
遺族はお通夜の後、故人が淋しくないように語り明かす際、
いただいた通夜見舞いを食べながら過ごします。
また、残った場合は持ち寄った関係者も含めて皆でいただくという風習もあり、
こちらは遺族が淋しくないように皆で元気付けるという意味合いがあります。
通夜見舞いをいただいた関係者には、香典返しの品物もより多くお返しするのがならわしです。
●出棺の際、故人の茶碗を割り、棺を3回まわす
出棺の際に故人の愛用していた茶碗を割るしきたりが広く見られます。
これは、故人の愛用品を壊すことで、「もう帰ってくる場所はありませんよ」と教え、
現世への未練を断つという意味があると言われています。
また、一部の地域には、出棺の際に近親者で棺を持ち、左へ3度ぐるぐると回す
というしきたりも。
これは、「三度回し」「棺回し」などと呼ばれます。
そのいわれは諸説ありますが、
ひとつは、棺を回すことで故人の方向感覚を無くし、家に戻ってこられないようにする、迷いなくあの世へ旅立っていってほしいという願いからだそうです。
もうひとつは、この「回る」という行為が、
仏教の修行や、お遍路さんが聖なる場所を回ったりする儀式などに関連して、
現世での罪をなくすための修行に等しいという「減罪信仰」からとも言われています。
●「精進落とし」でなく「精進上げ」
全般に自宅での葬儀が多いのですが、福岡市内では齋場で行なう率が高いそうです。
火葬のあと、遺骨を携え、家に入る前に体を清め、そのあと初七日の法要を行ない、精進料理を取ります。「精進落とし」ではなく「精進上げ」と呼ぶのがこの地域の通例です。
大分県よりの地域では、大分県と同じように、
葬儀・火葬を午前中に施行する傾向が強いようです。
ちなみに福岡県のお葬儀費用は総額は全国平均より50万円ほど安い146.3万円でした。
(H.22年調べ:全国平均は199.9万円)
しかし、飲食接待費用は79.3万円と多め。(全国平均は45.5万円)
親族で自宅でゆっくりと語りあいながら故人をしのぶ、
そんなお葬式スタイルが数字にも現れているようです。