不死蝶 ~ フェアリー ~  君の帰る場所 1 | a guardian angel

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スキビ好きな私が無謀にも始めてしまった…

二次創作・ネタバレ・つぶやきを含む妄想ブログです。

当然のことながら、作者さま・出版社さま等とは一切無関係です。

この話は…濡蓮・寝蓮制作委員会企画 「罪に濡れた夜を…」の蓮キョの…その後の物語です。

まだの方はそちらを読んでからどうぞ~ 罪に濡れた夜を… → 1話へ

そして、本誌のちおりんの呟いたフレーズから妄想… 尚→キョ  不死蝶 ~ フェアリー ~  

そしてこのお話は そのコメリクより…派生したSSです。

みーの萌え心くすぐるリクをくれた まめひよこさん に捧げます。

また長くなりそうな予感…( ̄Д ̄;;


不死蝶 ~ フェアリー ~ 君の帰る場所 


( SIDE 尚 )  プロローグ  ~ 蝶はどこにいる? ~


歌番の収録の為に訪れたテレビ局…地下駐車場から続く廊下でキョーコに会った。


バレンタイン…俺がキョーコのファーストキスを…アイツの目の前で奪った。


あの日以来…会うこともなかったキョーコと…

キョーコらしからぬ服装…

前の俺だったら、気づくことはなかっただろう。

だけど…目があった瞬間、わずかに動揺したその女に…俺は確信を持って近づいた。

「挨拶もなしか?…キョーコ」

そう言った俺に…明らかに動揺しているのがわかった。

しらを切りとおすキョーコに…いつもの軽口を叩くと…キョーコが訳のわからないことを言い始めた。

兄さんが待ってる…?

コイツは何を云ってるんだ?

キョーコの趣味とは到底思えないその格好と関係があるのか?

まぁ…あのどピンクつなぎよりはマシだけどよ。

キョーコと押し問答をしていたら…バカでかい危なげな男が近づいてきた。

今のキョーコと似合いな黒装束の男…そいつが俺を睨みつけている。

全身から漂うその狂気に満ちた黒いオーラ…

一瞬そのヤバさに怯んだ俺に、その男が言った。

「…離せ。…セツが嫌がってるだろう?」

「…セツ…だと?」

セツ?…こいつまで何言ってやがる…。

それとも…まさか、この俺がキョーコを見間違ったとでも…?

一瞬の気の緩みをついて…キョーコが俺の手をすり抜けていく。

「兄さんっ!!」

そう云って…その男の背にしがみつくキョーコ。

どういうことなんだ?あれはキョーコじゃないのか?

いや…そんはずはない。

あれは…

「セツは…男に絡まれやすいな…

心配で目が離せない…。」

「…兄さん…。」

熱っぽい目で見つめ合う男女…その姿は兄妹というより…

まさか…そいつとつきあってるっていうのか?

訳がわからない…困惑している俺を余所に

キョーコがその男の腕を組んで出ていこうとするその姿に腹が立った。

「…待てよ?!どういうことだ?キョーコ!!

…何なんだよ!その男はっ!!」

ムカムカする…なんで…そんな男と…っ

お前は…俺のことだけ考えてたはずだろう…?

なのになんで…?

俺の声にキョーコが立ち止り告げた言葉。

「…わからない人ね?私はセツカ…

そして…この人は私の大好きな兄さんよ?」

そして、その次の瞬間…

キョーコの唇を俺の目の前で味わうように奪い尽くす男。

なっ!!何してやがるっ…

カッとなった俺が…

アイツに向かって行こうと思った…俺の足を止めたものは…

それは…キョーコの表情。

とろんとした瞳…赤く染まる耳…

赤く染まる…

それは俺が奪ったあの日にも見た光景…

アイツに…チョコ以外の何かを贈ろうとしていたキョーコが見せた表情。


そうだ、だから、俺を植え付けたんだ。

ずっと…俺のことだけ考えるように…憎まれるんでいい。

アイツが俺だけを見るなら…他の誰も…映さないように

アイツの瞳に映るのは俺だけだ…俺がアイツの…

それなのに…なんでそんな愛しそうな顔でソイツを見るんだ。

ズキッ…

なんだ…?

傷ついた…っていうのか?

キョーコのあんな表情を見せつけられて…

俺が?!

キョーコが…俺じゃない男と…キスをしてる姿に?

違う…キョーコが俺以外の男に向けるその視線に…?

はっ…まさかな、キョーコが俺を忘れられるわけないだろ。

そうさ、俺を…憎んでるんだろう?

その心を誰よりも占めているのは…俺のはずだろう?


なのに、なんで俺を無視する?

そいつのキスに囚われて…俺が見えてない?


俺の視線に気づいたキョーコと目が合う…。

キョーコのその戸惑った表情に…無性に腹が立ってきた。


俺の存在が…キョーコの中で霞んでいくのが許せなかった。

さっきからずっと…ズキズキと痛む胸…

俺にも見せたことのないあんな表情を…どこで覚えた?

すべてが許せなかった。


アイツに連れられていくキョーコを見送った…

足に力が入らないほど…あの男のキスがよかったのか?

腹が立って…力任せに楽屋のドアを蹴った。

遅れてきた祥子さんが…何があったのかと心配してる…

「少し…一人にさせてくれ…」

そういうと…静かに部屋を出ていった。

俺は…手にしていた携帯でキョーコに電話した。


あれが…キョーコじゃなければいい…

そんな期待をどこかでもちながら…

でも、その一方で…

さっきの女がキョーコだと確信している俺がいた。


「もしもし・・・」

電話に出たキョーコの声…。

確認しようとして…冷静を装って話しかけた言葉。

その返事が返ってくることはなかった。

切られた電話…

それがさっきのことが事実だと証明した気がした。


燻る想いを抱えつつも…なんとか仕事を終えた俺は

ずっと…廊下での出来事に囚われていた。


あの男は誰だ?


あの…目で人が殺せそうなほどの殺気…

あれには覚えがある…

「?!」

まさか…?!声色こそ違えど…あの身長…その殺気…

キョーコを好きなアイツなら…

あの日の意趣返しのつもりか?!


でも待て…あの男が敦賀蓮だとしたら…

何であんな芝居を…?

いや…俺が思いを馳せたいのはそこじゃないっ

アレが敦賀蓮だとわかってて…キョーコが…

あんな表情をしたんだとしたら…?


祥子さんの言葉がフラッシュバックする…。


あなたがそうやって…つっぱねてる間に

二人はどんどん絆を深めていくのよ

いいの…?今ならまだ…


俺は間違えたのか?


俺を飲み込むように…どうしようもない焦りが俺を襲う…。

いてもたってもいられず…携帯を手にする。


何度かけても繋がらない電話…

ようやく繋がったかと思った…そのコール音もむなしく響くだけ…


キョーコッ…

お前の一番は…俺じゃなったのかよっ…


繋がらない電話を叩きつけた俺は…

痛む胸を抱えたまま…眠れない夜を過ごした。


→ 2話へ続く