講義の資料を整理していたら、先週使った資料が出てきた。
ブログでは、書いていなかったことを思い出した。
「社会福祉学入門」の授業で、「プロダクテイブ・エイジング」というテーマで学科の一回生に講義した。
2週続けて行う授業だったので、先ず一週目は、老年学という分野の紹介、高齢者の定義、そして介護問題と日本の介護政策についてお話した。
その対比として、「プロダクテイブ・エイジング」というテーマについて次週話すことにした。
どうしても高齢者というイメージは、寝たきりや認知症、世の中の負担という悪いステレオタイプがつきまとう。
こういうステレオタイプは、以前このブログでもご紹介したロバートバトラー氏が創った言葉「エイジズム」である。
私は、社会構造主義にというものがこの世の中にもの凄い影響があるかと思う。人々の頭の中で考えたことが実際に視野を影響し、結果的にそのものの観方が社会を形成すると思う。ネガテイブなイメージがいっぱいあれば、それが社会のマイノリテイーや高齢者などの弱者への抑制(oppression)につながって、また、弱者は内面的抑制(internalized oppression)へとつながることがあると思う。
人の創造とは怖いものでもあるし、良く使えば、もの凄いミラクルを起こすこともある。(実際に、学生に自分たちの中で自分の目標をイメージトレーニングを毎日のようにすることで、その夢が実現することもある、とお話したことがある)。
そこで、元気ある、生産性ある高齢者像があることを紹介することで、高齢者の多様化、そしてポジテイブなイメージを学生たちの頭に植えつける。
授業で、以前参加させていただいたシルバーキッズの高年齢バスケチームの映像を見せた。楽しく、元気良くプレーする姿を大きなレクチャー教室のスクリーンいっぱいに見せた。
100人以上入っているクラスがどよめいた「わ~!!!!」
さっきまで静かだった学生が(寝ている学生も起きてきて)、エキサイトしたのである。
授業は90分だった。「プロダクテイブ・エイジング」というコンセプトは高齢者の就労、ボランテイア、就労訓練・学習、そして家族への介護ケア・扶養などがある。それらについての日本の政策などについてお話しもした。
しかし、一番大事なことは、高齢者のエネルギーとバイタリテイーがあるということだ。それを学生たちに気づいてもらいたい、知ってもらいたい。
その3,4分の映像が全てを物語っていたと思う(実際に、映像が終わったら、寝に戻った学生たちがいた...)
今朝、報道番組で、ノーベル賞受賞者のポールクルーグマン氏が出ていた。マクロ的な政策の取り組みについてお話が中心だった。環境関連の産業が今後世界経済を救い、日本がその関連の産業に貢献することが重要だと話していた。
これは、すでに日本の企業も力を入れていることは確かだ(日経には、連日太陽電池やエコカーなどについての記事がいっぱいある)。
でも、クルーグマン氏のお話に付け加えたいことは、高齢者が住みやすい(生活の質が高い)国にすることが、社会経済を潤すことにつながることだということ。もっと制度を簡易化して、高齢者でもわかりやすい制度改善を図る、また「高年齢」をキーワードにした商品開発は需要を伸ばすと思う。
ユニバーサルデザインという言葉がものすごく流行ったが、ユニバーサルとは高齢者や障害者だけではなく、子供も妊婦も就労世代皆がその利益が得られる商品のフォルムを意味している。
市場には、そういうものがもっと増えることを期待する。日本は、そのリーダーとしての役割を追及することが大事かと思う。