若き獅子たちの手によって、背番号99が9度宙に舞った。西武が宿敵巨人を破り、4年ぶり13度目の日本一。「こんな、就任1年目のダメな監督を盛り上げてくれて、選手たちには感謝しています」。渡辺久信監督の声が震えていた。

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 12球団唯一の投手出身監督。自身も10度経験した大舞台で、主力投手の心意気と、短期決戦の特徴を知り尽くす采配(さいはい)を見せた。「短期決戦には、短期決戦の戦い方がある。調子のいい選手を使わないと悔いが残る」。追いつめられた第6戦で今シリーズの絶対的な切り札、岸を投入。次戦を考えず最後まで投げさせた。そして第7戦には西口、石井一、涌井をつぎ込む総力戦を展開。「(現役時代に)僕もやってきたし、こういう使い方は自分の考えた通りではあったね」。事前の思惑通り、逆転勝ちをもぎ取った。