診断の確定とともに、速やかに治療の開始が望まれた。
いつもの動物病院の院長と担当医はこの段階で次のステップを考慮していた。
「癌であれば手術できない程に進行している。おそらく放射線治療しかない。」
とすでに聞いていた。診断結果の判明と同時に、放射線治療の開始になるであろう
ことを想定して、放射線治療設備のある大学病院を紹介してくれた。
幸いに翌日の診察と検査予約がとれた。
【岐阜へ】
大学病院での検査は全身麻酔下に行なうため、検査開始時間の1時間前に
ペロは前処置室へと引き取られていった。
CT検査に続いて穿刺吸引細胞診(FNA)という組織検査が行われた。
細胞診は迅速切片で調べられ結果がすぐに判明した。
「細胞学的診断は甲状腺濾胞腺癌。 悪性腫瘍、癌です。
CTでは左が大きい両側性。さらに左肺、肝臓にも転移しています。
周辺の組織も巻き込んで進行しており、転移もあり、手術は困難です。」
濾胞腺癌の性質や治療法など一通りの説明があった。
ペロの現状では放射線治療が第一選択になるとの結論だった。
しかし、これほど深くまで大きいと当院の放射線装置の出力では
十分な照射効果が期待できないことが告げ添えられた。
申し訳なさそうな腫瘍科医の説明に
かすかな希望は冷たいタイルの床に砕け散った。
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