息子に「バカ」だの「どけ!」だの「邪魔!」だの言って、もめたことがあるタケシくん (仮名)。
「いつも息子と仲良くしてくれてありがとう」とけん制の声をかけたあと、会えば私から声をかけるようにしていた。
なぜかというと・・・
タケシくんは、参観日で見た感じだと、そんなにひねくれた印象はなかった。
それどころか、クラスでもよくできて目立つタイプの、リーダーっぽい特性がありそうな子だった。
なので、もし上手く味方に引き入れることができたら、一番いいなと。
もちろんこびるつもりはないし、息子が単にタケシくんに嫌われている場合はどうしようもない。
でも一応、見かけるたびに、小まめに声をかけていた。
「タケシくんちはどの辺なの?」
「あまり会わないよね。いつもこっちの通学路なの?」
「参観日におじいさんとおばあさんも来てたでしょ?」
「参観日に妹ちゃんも来てたよね~」
などなど。
タケシくんは、特にひねくれる態度もなく、だんだん私とも打ち解けるように。
タケシくん;
「おじいさんとおばあさんの家はね、今、立て替えてるんだ。
オレのおじいさんは、大金持ちなんだ~」
隣にいた子;
「それならボクんちのおじいさんも、大金持ちだ!だってこの前ボクにオモチャ買ってくれたから!」
私;
「息子のおじいさんも、ときどきお小遣いくれるよ^^大金持ちかな~」
なんて、ほのぼのするやり取りも。
さて、そろそろ息子の送り迎えの距離を短くしていこう。
下校時、私は学校と家の中間くらいの場所まで迎えに行って、息子を待っていた。
カーブの向こうから、息子の話し声が聞こえてきて・・・
話し声がするということは、誰かお友だちと一緒に帰っているのかな?
と、見ると・・・
隣にいたのは、タケシくん!
いつもタケシくんと一緒に帰るメンバーが、ぞろぞろその後ろからついてきていた。
思わず心からお礼を言った。
「タケシくん!息子と一緒に帰ってくれたの!?なんて親切なんだ!ありがとうね~♪」
息子は前方に知っている子を発見、私を置いて走り出す。
タケシくんが、ボソッと言った。
「あーあ、またお母さんイラなくなっちゃったよ、アイツ。」
それを聞いて、ふと思った。
タケシくんが、前に、
と言ったのは、もしかして・・・
「オレが一緒に帰ってやるよ」
の意味が含まれていたのかもしれない。
お母さんがそんなに心配してくっついてこなくても、オレが気にかけておくから大丈夫だよ、みたいな。
息子に後で聞いたところ、昇降口の外で、タケシくんが、「一緒に帰ろーぜ」と声をかけてくれたのだという。
私の深読みかもしれないし、真相は分からない。
けど・・・、
タケシくん、息子によくしてくれて、本当にありがとう。