- 魂のいちばんおいしいところ―谷川俊太郎詩集/谷川 俊太郎
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もう20年も前に買った本です。前にもブログで書いた覚えがありますが、「外で食事をする際、読む本がないと落ち着かない」という癖のため、ご飯を食べに行く前に何でもいいから何か1冊買わなきゃ!という、いささか本末転倒な買い方をした本でした。谷川俊太郎は大好きな詩人ですが、少なくともその時の私にとっては、「この本を読もう」と探していた本ではなく、ふと目にとまって「ああこれでいいや」と手に取っただけでした。
さて20年前ともなれば私もその頃はまだ若かった訳で(汗)、当時の私はまあ簡単に言ってしまうと「失恋」というような状態にありました。
店に入って注文したものが来るのを待ちながら、まず目次を開いてみると、「二月から十一月への愛のうた」というタイトルがあったんですね。なので、最初から読まずにまずその作品のページを開き、自分が9月生まれだからと「九月のうた」を真っ先に見てみたところ。
あなたに伝えることができるのなら
それは悲しみではありはしない
目に飛び込んできたこの言葉に、したたか打たれるような思いがしたのを今でも憶えています。
今日、ふと思いついて、「三月のうた」を読み直してみました。
小さな雛菊の縫取りのあるハンカチを
何の気なしにふと買った
よく似ている人を遠くから
思わずじっとみつめていた
古い手紙を出してきて
黄昏の光の中で読みふけった
何でもないようなこと
おそろしくちっぽけなこと
そこに愛がかくされていたと気づくのだ
愛を見失った今になって──やっと