国力、国民物価について比較考察を行ってきました。
ここで改めて両国の国家規模について比較してみようと思います。

資源国でない場合、国力はすなわち人間そのものです。
もっと有り体に言えば労働人口規模が重要です。
また国家である以上国民を養う必要があるため就業率や失業率も
国力を把握する上で大事な指標です。

さらに軍事力や開発力等についても知っておく必要が有るでしょう。
少し細かく見ていこうと思います。

【国家規模等の比較】
              韓国           日本
人口: 4850万人 1億2700万人
労働人口: 1742万人 6277万人(就業率56.6%)
労働人口/人口 35.91% 49.42%
非正規社員: 580万人(33%) 1775万人(28%)
大学就学率: 98% 58%
徴兵制: 有 無
軍事費: 224億ドル 510億ドル
兵器の輸出入額: 15億ドル 5億ドル
イノベーション指数:    16位 20位
研究開発費の対GDP比率:   3.4%   3.4%
証券市場規模: 1兆ドル 4兆ドル
軍事予算規模: 224億ドル 510億ドル

上記の数字を見れば分かるように、
日本と韓国では人口規模で概ね3倍の開きがあります。
労働人口では3倍強。労働人口を人口で割った数字では韓国の方が低水準にあります。
GDP規模は日本の5分の1で、証券市場も4分の1です。
朝鮮戦争直後、韓国は最貧国になっていたことを考えると、
戦争終了後一時の軍国主義時代を経たものの、経済的には躍進したといって差し支えがありません。

しかし大学進学率は98%と日本を大きく引き離しています。
それにともなってかイノベーション指数は世界16位と日本を引き離しています。
研究開発比はGDP対比で3.4%と日本と同水準で金額は5分の1でありながら高い成果を得ているように見えます。

軍事費は日本の約半分と国家規模に比較すれば規模が大きいといえます。
韓国と北朝鮮は依然戦争状態にあるため、軍事負担が重いという構造上の宿命があります。
予算のほとんどは陸軍で、国民は皆兵制で、恒常的な国民への負担が大きい構造です。
米国と日本とは同盟関係ですが、米国の駐留は28千人と日本の半分前後であるため、
自己防衛能力の確保は国家維持に不可欠な要因ですが、長年の負担に国民の不満が高まっているようでものあります。
しかしここ数年で米軍との関係は悪化傾向にあります。
韓国の主力戦車の技術はロシアから技術提供を受ける等両国の同盟関係にヒビを入れるような行動も目立ちました。もともと米国は駐留するには仮想敵国である北朝鮮や中国から距離が近すぎます。
主力部隊を駐留してもミサイル攻撃を受けると防衛困難な立地にあるため、
結果駐留規模は脅威に対して小さくせざる得ないという事情があるのです。

しかし、経済発展が進み、装備の近代化が進むにつれ
韓国独自の領土的な野心も強くなっており、
海軍力の増強や、日本、中国、ロシアを射程に入れた弾道弾の開発に積極的になりつつあり
日本としては心配な状況です。
特に対馬や竹島を意識した海軍の増強が心配です。
実に分かりやす形ですが、韓国の主力軍艦には
伊藤博文暗殺者である安重根や豊臣氏の朝鮮出兵での救国の英雄、
また竹島の韓国名である「独島」を冠する強襲揚陸艦などのあからさまに日本を対象とした
装備が増えています。
韓国はもともと軍国主義です。
その不幸な立地状況もあるため、強力な軍事力は必要であるということでしょう。
残念ながら現時点もその影響力の大きさは否定できないようです。
問題は国民負担をそらすだけならばまだしも、北朝鮮対戦力のみならず中国、ロシア、日本までにも戦闘力を誇示するような形は肯定できません。

韓国の国力をはかる際よくでてくる指標では失業率の低さがありますが、
韓国に限らず日本もですが失業率の算出方法は主に国家の恣意が入ってくるものです。
韓国の場合もそれはご多分にもれないので(公表失業率は3.1%と世界最低クラスです)、
労働人口を人口で割った率で比較してみました。
日本が49%、韓国が36%です。
先日検証した通り、韓国の物価は日本の8割であり、所得が50%ですから、日本人と
同水準の生活をするためには共働きが必要な構造です。
しかし当該指標では、就業率は高いとはいえません。共稼ぎどころか家庭で1名の就業が
精一杯なのかもしれません。とはいえソウル周辺では共稼ぎが多いようですから
地方はかなりきびしい就業環境なのではないでしょうか。

総合してみると、
韓国は日本比較では軍事費負担が重く、就業環境は日本より厳しいと考えられます。
非正規社員数は労働人口では同水準ですが、
就業者の数は人口に比較すれば不十分な状況です。
物価に比較して人件費が不十分な水準にあるのは求職者がそれだけ多いことを示しているともいえるでしょう。

韓国は短期間でかなりの成長を見せました。
一部の財閥系企業や国家財政の健全性では他の先進国に比肩します。
軍事力もかなり高いといってよいでしょう。
しかしその負担は圧倒的多数の国民の負担により成立しています。
更にその国民の余力は既になく危機水域を突破しています
(先日来の記事の通り家計負債、個人所得低迷、物価高騰、不十分な社会保障)。
遠からず国家はこの家計のクライシスの対応に出口の見えない対応を迫られるでしょう。

最近韓国が政府報道をあげ外交政策、反日行動の激化、韓国の国力誇示に躍起になる
理由が少し分かってきたように思います。






【日本との貿易関係 2008年】

日本との貿易地位: 輸出 3位 輸入6位

日本との貿易関係はお互いに比較的上位にあり、
貿易量も日本からの直接貿易額も最近上昇してた環境があります。
韓国の人件費高騰もあり、
2008年には直接投資の目的が第三次産業は向けが第二次産業向けを超えました。

2008年実績

製造業 1179億円(化学工業・鉄非鉄金属・エレクトロニクス)
非製造業 1269億円(金融保険・通信・小売)

直接投資残高 9624億円(対外直接投資資産シェアの2.2%)
⇨韓国の対外直接投資受入シェアは 1位米国27% 2位日本15% 3位オランダ11% 4位ドイツ6%

但し日本と韓国の貿易のみに着目した場合、
日本は現在に至るまで韓国との貿易では収支が黒字で推移しています。
これは韓国の完成品を製造する過程で、重要度の高い部品や素材を日本から輸入する構造であるためです。

2008年の実績では日本からの輸出額は

輸出 58,985百万ドル(4.7兆円)
輸入 29,248百万ドル(2.3兆円)
貿易収支 29,737百万ドル(+2.3兆円)

つまり韓国は部品メーカーにとってはよいお得意様となっている構造だと言えるでしょう。

日本の2008年の貿易額は

輸出総額7,759億ドル(62兆円)⇨韓国のシェア7.5%
輸入総額7,561億ドル(60兆円)⇨韓国のシェア3.8%

となっています。日本からの輸入の内訳は石油製品が1位で14%で、2位半導体13%、3位鉄鋼板7%と続きますが、2位以下は日本企業との競合商品です。
反面、日本からの輸出の内訳は鉄鋼製品関連が15%、半導体9%、製造機械6%となっていますがこれらの商品を加工し韓国は半導体や液晶製品、造船を行うため、日本との貿易関係ではゼロサムになると言えるでしょう(部品メーカーにはプラスだが、日本製品メーカーには競合強化でマイナス効果)