世界禁煙デー「タバコ会社の広告・販促・後援協賛活動の包括的禁止法制定を」 | 青森県タバコ問題懇談会BLOG

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青森県の全面禁煙の飲食店マップ 青森県内の禁煙活動・情報

報道発表資料
                  平成25年(2013年)5月31日

2013年世界禁煙デー(5月31日)にあたって      →PDF
  タバコ会社の広告・販促・後援協賛活動の包括的禁止法制定を
  真実を伝えずにタバコマネーにすがり続けるメディア
  法律・通知を守らずに喫煙室を設置し続ける青森県議会

         青森県タバコ問題懇談会 代表世話人 久芳 康朗
                           鳴海  晃
                           山崎 照光

男女とも平均寿命・死亡率ワースト1で喫煙率2位(男性1位・女性4位)の青森県において禁煙は最重要課題であるにも関わらず、喫煙規制対策は遅々として進まず、行政の不作為が続いています。5月31日のWHO世界禁煙デーにあたり、政治・行政・報道・広告関係者および県民の皆様に対して、青森県タバコ問題懇談会から声明を発表いたします。

■ 2013年のWHO世界禁煙デーのテーマは「タバコ会社の広告・販促・後援協賛活動の包括的禁止法制定を(Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship)」

 2013年5月31日の WHO世界禁煙デーのテーマは「Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship:タバコ会社の広告・販促・後援協賛活動の包括的禁止法制定を」です。 2012年のテーマ「 Tobacco industry interference:タバコ産業による規制妨害を告発する」に引き続き、タバコ産業の欺瞞と反社会性を厳しく追及し、各国政府に対して包括的禁止法制定を早急に実施することを求めています。(別紙資料1:Ban は法律で禁止するという意味合いなので「禁止しよう」ではなく「法制定を」としました。)

 日本政府も批准しているWHOタバコ規制枠組み条約(FCTC)の第13条では、すべての締結国に対し、条約施行後5年以内にタバコの広告、販売促進、スポンサー活動の禁止を実行する義務を課しています。2008年に採択された FCTC第13条ガイドラインには包括的禁止措置の範囲が示されており、直接・間接的なタバコ商品の広告のみならず、スポーツ・文化活動、市民活動などへの後援・協賛や、社会貢献活動(CSR)など、タバコ産業が行うほとんど全ての広告、販促、後援・協賛活動を禁止することが求められています。バレーボールや将棋などのスポンサー活動、マナー広告、ねぶた祭り会場におけるゴミ拾い活動、東奥日報のような報道機関とタバコ会社共催のフォーラム開催などは全て FCTC に違反していることは明白であり、これまで何度も厳しく指摘してきました。

 政府および国会は早急に包括的な広告禁止法を制定すべきですが、それと共に、メディア、行政、各種団体および県民の一人一人が、タバコ産業の行っている各種の「貢献活動」と称する資金のばらまき(タバコマネー)が、規制の手を緩めさせてタバコ販売の利益を確保するという明確なただ一つの目的のために行われているという事実を正しく理解し、より厳しい規制の実施を後押ししていただくことを期待します。

 一方、厚生労働省は今年の世界禁煙デーのテーマを、日本独自に「たばこによる健康影響を正しく理解しよう」という実効性のないメッセージにすり替えて、WHOのテーマには翻訳すら付けず、国民の命を守るためにタバコ産業と対峙する義務を完全に放棄しています。2012年にも独自テーマ「命を守る政策を!」を制定して同様の姿勢を見せてはいましたが、辛うじて「たばこ産業の干渉を阻止しよう」という翻訳は掲載していました。

 タバコ問題は原発・核燃問題と全く同じ構造で、政官学財メディアによる「ムラ社会」で成り立っています。厚生労働省の姿勢はその現状を端的に表していると言えます。

■ 真実を伝えずにタバコマネーにすがり続けるメディア このまま滅びの道を歩むのか

 メディアは、これまで FCTC に違反してタバコ会社から広告や協賛金を受け取ってきたことの誤りを認めてタバコマネーと縁を切るか、これまで通りお金を受け取り続けるかの二つに一つの選択肢しかありません。当然のことながら、自ら FCTC に違反しながら「タバコ会社の広告・販売促進・スポンサー活動は FCTC 違反である」ことを県民に正しく伝えることは、泥棒が警官になれないのと同じ道理で不可能です。

■ 飲食店内の喫煙でPM2.5は危険域に上昇 三村知事は受動喫煙を防止する義務を放棄

 すでに報道されている通り、飲食店などの室内で喫煙すると微小粒子状物質(PM2.5)は数十~数百というレベルに達します(単位はいずれもμg/m3)。(別紙資料2)

 環境省は新たに屋外における活動自粛の基準を「70」という根拠のはっきりしない数字に定めましたが、環境基準は年間の慢性曝露で「15」、24時間の急性暴露で「35」です。WHO のガイドラインによると、PM2.5が「10」上昇すれば、全死亡率は急性暴露で1%、慢性曝露で6%も増加するのです。(10万人あたり1000~6000人)

 もし「70以上」で外出自粛などの注意喚起を行うのであれば、「数百」という飲食店には入店自粛を呼びかけなければいけないはずです。県民もこの事実を知れば、全面禁煙ではない飲食店を利用する危険性を簡単に理解することができるはずです。

 分煙によって受動喫煙を防ぐことができないことは WHO や日本政府も認めており、 FCTC ガイドラインで2010年までに「分煙不可・例外なし・罰則あり」の屋内全面禁煙の法律・条例化が求められてきたことは、これまで何度も伝えてきました。

 三村申吾青森県知事は、2010年以来、当懇談会からの再三の要請にも関わらず、受動喫煙防止条例を制定しようとせず、県民を受動喫煙から守る義務を放棄しています。

■ 法律・通知を守らずに喫煙室を設置し続ける青森県議会 喫煙は議員の特権か

 青森県議会は、県内における実効的な受動喫煙防止対策を求める請願・陳情(2010年6月・2011年3月)を採択しながら、県施設の全面禁煙を求める陳情を不採択にしました(2011年3月)。現在、県の施設を利用する県職員(知事を含む)および県民、来客者は皇室であろうと国家元首であろうと施設内における喫煙は禁じられているにも関わらず、青森県議会議員のみが県施設内で喫煙できるという不可思議な状況が生じています。

 青森県議会に対しては既に2011年2月に全面禁煙化を求める勧告を出していますので、当懇談会として改めて何らかの要請や勧告を出すことは今後一切いたしません。

 県議会以外の県施設が全面禁煙になった現在、陳情を不採択としたことの誤りを認めて、県議会も早急に全面禁煙にするのが選良としてごく当たり前の感覚だとは思いますが、問題意識の乏しい県議会議員に対して何らかの期待をする段階は過ぎ去りました。

 この文書はインターネットを通じて全国民に公開されております。歴史が裁定します。

■ 三陸復興国立公園内の遊歩道・展望台・休憩所における全面禁煙の実施を要請します

 種差海岸と階上岳の三陸復興国立公園指定を心から祝福いたします。両地域に何度も足を運んで自然ときれいな空気を楽しんでいる県民の一人として、環境省・高橋瑛子自然保護官に国立公園内の遊歩道・展望台・休憩所における全面禁煙の実施を要請いたします。

 受動喫煙は放射線被爆と同様にどこまでなら安全というレベル(閾値)はなく、タバコ規制枠組み条約や健康増進法・厚生労働省局長通知でも、屋内全面禁煙のみならず屋外の施設や出入り口付近、公園等における受動喫煙も防止するよう求められています。

 種差海岸や階上岳の遊歩道や登山道は狭く、遊歩道内のみならず休憩所や展望台、山頂等において喫煙されれば容易に高濃度の受動喫煙にさらされることになります。ことに、団体の観光客が一度に下車するとトイレ付近に多数の喫煙者が集結して悲惨な状況に陥ります。(葦毛崎などではそこまでひどい状況は経験していませんが、奥入瀬渓流の石ヶ戸休憩所では受動喫煙の被害を被った経験が何度もあります。一度ご視察下さい。)

 わずかにタバコ臭を感じる程度の受動喫煙でもPM2.5は1μg/m3程度上昇し、10万人あたりの生涯超過死亡者数は急性暴露で100人(0.1%)、慢性暴露で600人(0.6%)に達します。これは、通常の環境汚染物質の許容基準の100~600倍に相当します。

 また、遊歩道等におけるゴミで最も問題となるのはタバコの吸い殻であり、単なるゴミではなく発がん物質を含む有害汚染物質です。また、フィルターは環境に残存し動植物の生態系に多大な悪影響を与えます。国立公園内の喫煙は火災の原因ともなります。

 三陸復興国立公園内の全面禁煙の実施をお願いいたします。

■ 参議院議員選挙立候補予定者へのタバコ問題アンケートを実施します

 4月の青森市長選挙では鹿内、蝦名両氏から回答をいただき、結果はホームページに掲載しております。7月に実施される参議院議員選挙の立候補予定者にも、国民の全死亡の1割以上の原因となっているタバコ問題についてアンケートを実施いたします。結果がそろいましたら報道を通じて県民に発表すると共に、ホームページにも掲載する予定です。

■ タバコのない青森へ 10の提言

 2012年の「世界禁煙デー記念フォーラム in 青森」において、タバコによる甚大な健康被害から青森県民を守るために「タバコのない青森」の実現をめざして「タバコのない青森へ 10の提言」を採択しました。(別紙資料3)

 「タバコのない青森」とは、「受動喫煙ゼロ、未成年・妊婦の喫煙率ゼロ」を目標とした段階にとどまらず、「タバコをつくらない、売らない、喫煙率ゼロ」という世界を見越したスローガンです。ニュージーランドをはじめ世界各国で既に喫煙率ゼロを目指した規制強化の段階に入っています。喫煙者の半数、受動喫煙者の1~2割の命を奪うタバコという致死的な悪習を次世代に持ち越さないためには、大人社会の意識転換が必要です。

 特に、政治・行政やメディア関係者の意識の遅れが重大な障害となっています。

「タバコのない青森」のために必要な規制政策の三条件は以下の通りです。
1)タバコ税大幅増税 1箱1000円以上 税収による葉タバコ農家支援政策
2)屋内全面禁煙 「分煙不可・例外なし・罰則あり」法制・条例化
3)タバコ販売・広告・スポンサー禁止 画像警告・無地包装・店頭陳列禁止

 いずれも財源を全く必要とせずに多数の国民の命を救えるごく簡単な政策ばかりです。

■ 世界禁煙デー記念フォーラム「タバコの煙のないお店でおいしく食べたい」6/2 弘前

 6月2日午前10時より、弘前市土手町コミュニケーションプラザにおいて、「禁煙で健康なまちづくりを タバコの煙のないお店でおいしく食べたい」をメインテーマに世界禁煙デー記念フォーラムを開催します。全国に先駆けて全学部全キャンパスの敷地内禁煙化を実現した東北大学の黒澤一教授の特別講演に引き続き、シンポジウムでは飲食店の禁煙化にテーマを絞り、和料理「なかさん」の中村伸子氏と弘前料理飲食業組合の今与視博理事長を招いて意見を交換します。(別紙資料4)

 受動喫煙防止条例の制定が当面期待できない状況で、受動喫煙ゼロの全面禁煙店が、利用客だけでなく経営者にとっても、料理を味わってもらい経営にもプラスになる最良の選択だという認識を参加者と共に確認し、県民の間に広めていくことを目標としています。

連絡先
青森県タバコ問題懇談会事務局
(省略)


■ 別紙資料

1)2013年世界禁煙デー「タバコの宣伝、販売促進、スポンサー活動を禁止しよう」
   http://www.nosmoke55.jp/action/130531wntd.pdf
 
2)リーフレット「タバコのない青森を 受動喫煙防止条例を制定しよう
  タバコは老化促進剤 禁煙は愛」 (2013年 青森県タバコ問題懇談会)
   http://aaa.umin.jp/data/2013/leaflet2013.pdf

3)「タバコのない青森へ 10の提言」(2012年6月17日 青森県タバコ問題懇談会)
   http://aaa.umin.jp/data/2012/teigen10_2012.pdf

4)「世界禁煙デー記念フォーラム2013 in 弘前」の案内(青森県タバコ問題懇談会)
   http://aaa.umin.jp/data/2013/20130602hirosaki.pdf