青森県内40市町村における喫煙対策の現状(2012年調査結果) | 青森県タバコ問題懇談会BLOG

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青森県内40市町村における喫煙対策の現状

                    2013年2月9日
          青森県タバコ問題懇談会 代表世話人 
             山崎照光、鳴海 晃、久芳康朗

健康増進法(2003年5月1日施行)の第二十五条において、学校、体育館、病院、集会場、官公庁施設などにおいて受動喫煙を防止することが義務付けられました。さらに、たばこ規制枠組条約(FCTC)の「受動喫煙防止ガイドライン」は、2010年2月までに「屋内完全禁煙」を実施することを定めておりますが、青森県内ではいまだに実現に向けた取り組みは十分ではないのが現状です。

そこで当懇談会では2008年から県内全市町村の公共施設(庁舎・議会棟、公民館、運動施設、病院・診療所)および公立学校(中学校、小学校、幼稚園)の喫煙対策状況を毎年調査集計し、公表しております(1)。2012年度も全40市町村と県の公共施設・公立学校(合計1、879施設)の喫煙対策状況についてアンケート調査を実施し、全ての自治体から回答が得られましたので報告いたします。

1、公共施設・公立学校の喫煙対策の変遷(図1)

全施設(1,879施設)の喫煙対策実施状況をみると、2012年度では敷地内禁煙643施設(33%)、建物内禁煙867施設(45%)、施設内分煙267施設(14%)、喫煙対策なし102施設(5%)でした(図1)。2008年度の調査では敷地内禁煙(33%)、建物内禁煙(27%)、施設内分煙(27%)、喫煙対策なし(13%)でしたので、建物内禁煙の施設は増加し、施設内分煙や喫煙対策なしの施設は減少しております。また七戸町、六戸町、横浜町、東通村では全ての公共施設・公立学校が、敷地内禁煙もしくは建物内禁煙でした。

2、公共施設・公立学校の喫煙対策状況(図2)

施設別に喫煙対策状況を集計したところ、最も喫煙対策が進んでいるのは公立学校(中学校、小学校、幼稚園)でした。全586校中で敷地内禁煙は508校(87%)、建物内禁煙は75校(13%)でしたが、いまだに施設内分煙の公立学校は平川市に3校(全体の0.5%)存在しており、早急な改善が必要です。喫煙対策が立ち遅れているのは、庁舎・議会棟です。全177施設の中で、敷地内禁煙はわずかに10施設(6 %)のみ、また建物内禁煙は113施設(64%)でした。一方施設内分煙が53施設(30%)、分煙対策なしが1施設(1%)存在しており、全施設の3割は、「屋内完全禁煙」を求めるたばこ規制枠組条約(FCTC)の「受動喫煙防止ガイドライン」を満たしていませんでした。該当する24の自治体(青森県も含め)は、日本国政府が批准しているFCTCに則り、早急に庁舎・議会棟を少なくとも建物内禁煙とするべきです。

3、喫煙対策総合点数による自治体ランキング

各市町村における喫煙対策状況について、独自に喫煙対策総合点数を計算し評価しました(1)。喫煙対策総合点数は、敷地内禁煙施設の割合×100点+建物内禁煙施設の割合×80 点+施設内分煙施設の割合×20 点+喫煙対策なしの施設の割合×0 点の計算式で求めました。今回用いた計算式では、敷地内禁煙や建物内禁煙の施設割合が多いと点数が高くなります。一方、施設内分煙や喫煙対策なしの施設割合が多く受動喫煙防止対策が不十分であると点数が低くなります。県内で最も禁煙化が進んでいる自治体は横浜町であり、喫煙対策総合点数は88.8点でした。ワーストは佐井村で37.7点でした(図3)。喫煙対策総合点数の41自治体の平均は2008年には59.9点でしたが、2012年には70.8点になっており、全体として喫煙対策は進んでいるものと思われました(図4)。

4、たばこ規制枠組み条約(FCTC)の認知度
青森県および40市町村の健康福祉部門・タバコ問題担当課に対し、「日本国も批准しているWHOのたばこ規制枠組み条約(FCTC)は「屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所、レストランなどでも受動喫煙を完全に無くすこと」を求めていることをご存知でしょうか。」という質問に対し、県及び37市町村の担当者はFCTCについて知っていましたが、2つの自治体(平内町、田舎館村)からは「知らない」という回答が得られことはたいへん残念でした。

5、まとめ
(1)喫煙対策を行う市町村は増加傾向にあるが、市町村間で格差がある。
(2)受動喫煙対策が遅れていた西目屋村、中泊町、鶴田町、黒石市の役場に直接出向いて、早急に改善するように要望したところ対策が進んだ。
(3)喫煙対策総合点数ワースト1位から4位の佐井村、東北町、大間町、田舎館村に対し、直接的介入が必要と思われる。
(4)たばこ規制枠組条約(FCTC)の「受動喫煙防止ガイドライン」を知らない自治体が2つ存在した(平内町、田舎館村)。

6、文献
(1) 鳴海晃、久芳康朗、山崎照光、新谷進一、中路重之:青森県内40市町村における喫煙対策の現状、日本禁煙学会雑誌、第5 巻第6 号、2010年12月22日 (http://nosmoke.xsrv.jp/gakkaisi/201012/10_05_06_1220_p165.pdf

(図はクリックすると別ウィンドウで拡大)

図1 公共施設・公立学校の喫煙対策の変遷
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図2 公共施設・公立学校の喫煙対策状況
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図3 喫煙対策総合点数による自治体ランキング
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図4 喫煙対策総合点数の変遷
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<ファイル>
・青森県内40市町村における喫煙対策の現状(PDF)
・講演発表ファイル(PPS)
・総合点数(Excel)