青子の本棚

「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。


テーマ:
猫のあしあと/町田 康
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猫エッセイの第二弾。

私は順番通り読めなかったけど、「猫にかまけて」「猫とあほんだら」 のちょうど真ん中の時期の出来事が、綴られています。


↑の二冊以上に献身的に猫たちに仕える?町田夫妻の日々です。



まず、ヘッケの兄弟がいるなら面倒みたいとボランティアさんにお願いしたら、連れてこられたのが、大人猫のシャア、つづいてニゴ。

そして、すこ~し遅れてトラ。

そのあとに、ウメチャン。

どうも、この四匹、ヘッケの兄弟とは言い難い猫たちなんだけど、心優しい町田氏は、預かってしまいます。

こりゃぁ、もう、ボランティアさんの確信犯的行動ですな。



そして、黒猫王子KURO-L1エルも登場。

町田家にやってきた小さな小さな黒猫は、まるでぼろ雑巾のようで、よくぞここまでかわいくなったと写真をみると、ほんとにびっくりしますヨ。


付きっきりで看病に明け暮れる町田家の人々には、もう頭が下がるばかりです。

だって、毎日のように病院と家の往復、食物を受け付けないエルに二人がかりで、ようやっとちょっぴりのミルクと餌を与え、その数日間は、自分たちはコンビニ食で過ごす。

こんだけして、助からなかったら、私、神様ドクロ呪うね。




そして、他の二冊より、猫エッセイにぺたりと貼り付けられた、人間批判というか、作者からのメッセージをどの本よりも強く感じました。



輸入ペットが原因で広まったウィルスや、虐待を受ける野良猫、極めつけは、「もう十分たのしませてもらったからもういい」と大型犬を捨てに来る飼い主の話。



えーっ、どういうことやねん。むかっ

信じられへん。叫び


都合のいいときだけの飼い主なんて、そんなんおかしいやん。

めっちゃ腹立つ。パンチ!パンチ!パンチ!



いきものを飼うための覚悟が、文面のあちらこちらから、びんびんと伝わってきます。



と同時に、猫を語りながら、人の道を説くというか、そんなとこは、やっぱり芥川賞作家やね。




例えば、他人を助けるという行為について、ほんの少しでもやらないよりはやった方がよいのだけれど、今日中に三百万円用意しないと死ぬという人に、三百円をあげてもなんの助けにもならないなんて解りやすいたとえを披露してくれます。


笑ったけど、言えてる。




確かに三百円じゃねぇ。

でも、三百円あげる人が、一万人いたら三百万円になることも確か。


その一万人を誰が集めるかやね。

そして、一万人の人がたとえ三百円であっても、全く知らない赤の他人に、理由の如何を問わず、お金を出すかなぁってとこが残るんです。




本気の毒だとは思う。しかしそれは思うだけで、自分がその気の毒な立場に立つのは嫌なのである。



そうなの、そうなの。

人間の本質は、こっちなんですよね。

「人間」って言っちゃうと、そんなことないとおっしゃる方もおいででしょうから、「私」と変えてもらってもいいです。


そして、



本他を助けるということは実はたいへんなことで自分を滅ぼす、自分を無にする覚悟がないと助けられない。自分は安全な場所にいて他をたすけることはできない。



たいへんやねぇと同情はできても、じゃあ、私が代わってあげるとは言えない。

原発で出た放射性廃棄物の置き場のことを連想しました。

沖縄の基地も一緒。


厳しいなぁ。



他にも、町田氏の作品によく出てくるダメダメ主人公の思考のごとく、仕事するのが嫌やで別に今じゃなくても良いことをワザとやってごまかしてみたり、時間の使い方が下手で自己管理ができていないのを棚に上げて、忙しいからと言い訳したり……。


はぁ、まるで私のことみたい。あせる


すみません。

反省します。




そして、そして、気になっていたゲンゾーのその後も判明。

なんとなく予期していたことだけど、涙


既にエイズに罹患しているシャアやニゴ、白血病のトラたちも、元はといえば野良にしてしまった人間に責任があるとはいえ、人間が良かれと思って施したワクチン接種が引き金であったと推測されるゲンゾーの死は、残念な結末でした。


猛烈に自己批判する作者には、少し引いてしまうけど、生命の重さを考えさせられる一冊でした。



そんな、こんなで、3冊の中では、作者のパンチ!怒りがいちばん強く感じられました。

いや、けっして私が怒られてるからってワケじゃないです。





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