ハリネズミの願い/新潮社
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ひとりぼっちのハリネズミの願いは、誰かが訪ねて来てくれること。そこで、いままでだれも招待したことがないハリネズミは、どうぶつたちに手紙を書くことにした。「ぼくの家に遊びにきて」って。でも、臆病なハリネズミは、そのあとに「だれも来なくてもだいじょうぶ」と書き足した。そして、やっぱり、手紙はだれにも送らずに、戸棚の引き出しの中へ。



童話のようなこの本は、ハリネズミの妄想?が炸裂。爆弾

もし、誰もやって来なかったらから始まって、手紙を出した全員が同時に訪ねてきたら。。。

もし、カワカマスとコイが、
もし、クジラとサメが、
もし、モグラとミミズが、
もし、ラクダとシロアリが、

ヒキガエルが、クマが、ゾウが、ダチョウが、カメとカタツムリが、アリが、キクイムシが、ビーバーが、ナイチンゲールが、キリンが、ミーアキャットが、バケモノが、……。


一体全体、どんなケーキケーキを用意すればいいの?
紅茶紅茶は好きかな?
なんの話をすればいいの?
ぼくの背中の針は恐くないかな?
家を壊されないかなぁ。
なにかで気を悪くされたらどうしよう。


ハリネズミの心配は止まず、延々と悩み続けます。
そして、結局、いつまでたっても招待状は出せないまま。



読んでる私が、ハリネズミの心配に、イライラ。パンチ!
物語が一向に前に進まないことに辟易して、読むのをやめようかとさえ思ったほどです。

まだ、起こってもいないことを心配し、時間ばかりが過ぎていくハリネズミの優柔不断に、ええ加減にせえよむかっと、怒りはMAX。
なんだけど。

ん?

これって、私の中にも確かにあるよ、こんなとこ。目あせる


案ずるより産むが易し。
なのに、でも、失敗したらヤダなとか、どうせ私なんかとか、世の中には、心配の種がいっぱい。
結局、なにもできずに、平穏無事っちゃあ平穏無事だけど、後に残るのは、やらなかったことへの後悔?

あ~、あのときこうしてればなぁと思うのが関の山。

もしかして、ハリネズミって私のことかも。。。
あのイラっむかっは、同属嫌悪だったのかも。。。
と、ちょっと、ドキっドキドキとさせられました。



もちろん、ハリネズミが勝手に想像した動物たちの訪問シーンも、それぞれの動物たちのキャラクターのイメージぴったりで、子ども用の童話のようにおもしろく読めるんだけど、オトナな私は、彼らが繰り広げるかもしれない行動や、言葉の中に、とーっても難解な哲学を見つけて、なんかタダ者ではない作者の問いかけを感じました。


本 ぼくは世界じゅうに存在するもののなかでもっともタンジュンであると同時にもっともフクザツでもあるんだ。ありんこ

本 ぼくは迷いたくないのに迷わざるをえないんだ。はりねずみ

本 ぼくはなにも知らない。ほんとうになにも。はりねずみ

本 どうすれば、どうすれば、どうすれば……いつだってそればかりを考えていた。 ―中略― そして昼間、波にぷかぷか浮かんでいるときにはいつでも同じことを考えていた――どうすればしあわせになれるか、ということだ。宇宙人



孤独で自分に自信がないハリネズミ。
ハリがあって、それでもだれかにあそびに来てほしい。
でも、やっぱりだれにも来てほしくない。

アンビバレンツはつづく。
どれもこれも、杞憂でしかないのに。

そして、とうとう……。


ラストはほっこり。
よかったね、ハリネズミ。りす




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