塩の街  有川浩 | 青子の本棚

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「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

塩の街/有川 浩

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ある朝、東京湾に全高約五〇〇mに及ぶ白い隕石が落下した。同時に人々は、塩の彫像と化した。塩害と名づけられたその不思議な現象で両親を亡くした高校生・真奈はワケ有りの自衛隊員・秋庭二尉に助けられ、一緒に暮らすことになる。彼らの前に現れた偽司令・入江は真奈を人質にとり秋庭に世界を救うため厚木の米軍基地に襲撃をかけるよう要請する。



人が塩に!?
うひゃぁ、まるでロトの妻だ!!
原因が隕石ってのはいいけど、見ただけで感染するってのはどうかなぁ。
その上、隕石には何らかの意志が働いていて。。。
うーん、ムリ。
いっそのこと、感染経路は不明でいったほうが納得できます。
それに、囚人を使った人体実験も×なら、隕石の始末の仕方もお粗末かな。


冒頭の塩化した恋人をリュックに入れ背負った遼一との出会いに、これおもしろーいと期待大だっただけに、残念です。
ごたぶんに漏れず、街は無政府状態で荒れまくり、「終末のフール」を思い出しました。ひっそりと暮してた二人の前に秋庭の同級生の入江が現れ、二人は思わぬ大役を果たすことになるのですが、途中からこれがラブストーリーになっちゃってて、これもまた、納得できません。

しかも、真奈(18歳)は秋庭(27、8歳)との年齢差を常に気にしてっていうのも・・・。
それよりも、秋庭に出会う寸前に集団レイプにあって(ないのかなぁ、微妙)ることの方が負い目になりそうな感じがするのですが。。。
なんか違うなぁ。
ぶっきらぼうでやさしい秋庭と優等生の真奈のカップルは、読んでいて気恥ずかしくなってしまう可愛さです。
もう少し、なんとかならなかったのかなぁ。
プロットがおもしろいだけに残念に思います。

あと、”しれっと”という言葉の乱用が気になって、どうも入り込めませんでした。
私がもっと若ければはまったかも。
やっぱり、歳かなぁ。

でも、とても読みやすく、長さを感じさせない本でした。
単行本で読んだので、塩の街の後日談というか、外伝っぽい短編4つも収録されています。
こちらは、もう200%ラブストーリー。
秋庭と真奈、自衛隊で彼らが出会った結婚前の野坂夫婦、入江に親を実験台にされた樹里と使用人・柏木(彼らも歳の差カップル)。

まぁ、みなさん、お幸せに!!