振り返れば蜘蛛がいる。 | 青木道弘ブログ

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舞台人青木が見た! 聞いた! そして、感じた!

我が家に蜘蛛が出た。

生駒に部屋を借りて5年。隣の由緒正しい神社とうちのハイツとの間には木が生い茂ってるので、正直、そういった類のモノはもっと出てもおかしくはないのだが、うちはGすら、ほとんど出なかった。

ただ、驚いたのは、蜘蛛が出た事よりも、その彼(彼女の可能性もあり)は、依頼された台本を打っていた私のPCの横を駆け抜けるどころか、威厳に満ち、ゆったり、堂々と歩いてきた。
思わず、彼(彼女の可能性もあり)の行く手を遮っていた私の腕を避けてしまうほどだった。

私はただただ呆然と彼(彼女の可能性あり)の悠然たる歩みを眺めるしかなかった。

我に返って、私は考えた。

普通(あくまで私の中の常識)、蜘蛛というのは、人から遠ざかる(もしくは手の届かない位置に巣を作る)、少なくとも人の気配を感じたら、逃げるだろう。

とすれば、考えられる可能性は2つ。

1・私が人生の大半を修行に費やし、ついには悟りを開いた僧のように、気配を消せていた。

2・彼(彼女の可能性は否定できない)に人として認識されていない

この二点だ。

1に関してだが、完全に台本は行き詰まっていて、なんだったら、浅田武雄に教えてもらった携帯アプリ『将棋ウォーズ』で一局と考えていたところなので、贔屓目にみてもあり得ない。
となると、2か。2なのか…

ならば、人間様の力をみせつけるまで!!

と、まさに理性を失おうとしていた、その時、私の記憶が蘇った。

ここに来て、2年目だっただろうか、朝、小さな蜘蛛がいたのだが、『朝蜘蛛は縁起が良い』という、祖母の教えに則り、その小さな蜘蛛をそのままにしておいたのだ。


さっき見た蜘蛛は中くらい。蜘蛛の成長の速度には疎いので全くわからないが、まぁ、3年でこのくらいのサイズになってもなんら不思議はない。
仮に、さっき見た蜘蛛がその蜘蛛だするならば、もう3年、ここに住んでいるのだ、堂々としていても不思議ではない。

3という選択肢が出来た。
な、わけねーだろー!とも思ったが、3だとするならば、害虫が出ないという疑問が腑に落ちる。

こんな害虫が出ても不思議でない立地で、全く害虫が出ないのは彼(彼女のくだりは今後省略する)が日夜陰で頑張ってるからという美談は嫌いじゃない。

ただ、はらわたの煮え繰り返る2という可能性が完全に消えたわけではない。

私は結論を先延ばしにすることにした。
というか、すでに彼は消えていた。。

ただ、3なら3で彼には1%とは言わないが、0.5%は家賃を入れて欲しい。

依頼されたシナリオの方だが、その出来事をヒントに、ある家に偶然入った二組の泥棒が、親戚として生活していかなければならなくなる話を書いている。

そして、行き詰まっている…。