……………「そばにおいでよ。」第一話
「お前と議論するつもりはないんだよ。女は、黙ってニコニコしてりゃいいんだよ。」
「はー?ニコニコってなに?間違ってるから、間違ってるって言っただけでしょ?それに、もっと別のやり方があるって、教えただけじゃない!」
「お前、クソ可愛くねーな!誰も教えてくれなんて言ってねーよ。あー、もう、別れよ、お前といると疲れる!一緒にいても、休んだ気がしねーんだよ。男一人癒せねー女は、いくら仕事か出来たって、俺にしちゃ出来損ないの不良品だ!」
…言い返せなかった…。
可愛げがない。
笑顔が怖い。
疲れる。
余計なお世話。
……ああ…。
いつも同じ言葉でフられるワタシ。
デキる女がモテるって、誰が言った?
頑張って仕事して、何が悪い?
悔しいけど、泣きたくない。
男の前で、涙なんか見せるもんか!
「私の、何が…悪いわけ…。」
「そういうとこ全部。ごめんねって、かわいく謝れば、許してやろうと思ったけど、もう無理。」
そう言って、背を向け歩き出す、ほんの5分前まで、彼氏だった人。
な、なんなの…
そっちから付き合いたいって、言ったくせに…
賢い女が好きだって言ったじゃない…
私は、歩き去る背中に向かって、大きく息を吸った。
「ふ…ふざけ…
「ふざけんなーー!お前みたいなポンコツ、こっちが払い下げじゃー!二度と顔見せんなボケー!」
えっ?
言おうとした言葉を、全部言われて唖然とする。
…誰?
「逃げろっ!」
「えっ?」
真っ黒な服を来たその人は、私の手を掴んで、猛スピードで走り出した。