未完:恋愛小説@第2話「tears of love」 | 「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

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趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。












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……………………「tears of love」第2話














驚いたことに、追試は満点。


私は、答案用紙を返すために、清宮くんを準備室に呼び出した。






バンッと、大げさに開くドアに驚きつつも、今日も…来てくれた。




「テスト、返すね。」



私が、答案用紙を差し出すと、奪うように手にとって、ぐしゃっと丸めてポケットにいれる。





「あ、だから、ダメだって、せっかくの…。」




伸ばしかけた手を、ぐっと握った。



「ごめん、もう関わらないんだったね。いいからもう、行きなさい。

あ、それから…満点、おめでとう。」




このテストで満点を取るのは、容易なことではない。

理由はどうあれ、清宮くんの頑張りは賞賛に値するものだ。




清宮くんは、両手をポケットに突っ込んだまま動かなかった。





「ん?なに?」





「いや、初めてだ。
俺の前であんたが笑うのは。」




「え?あ、そうかな?」



確かに…清宮くんの前では怒ってばかり。


ポケットに突っ込んだままの清宮くんの手が、丸めた答案用紙と一緒に、もう一度私の目の前に現れた。


清宮くんは、それを机の上にボンと放り投げる。

答案用紙はコロコロ転がって、私の前でピタリと止まった。





「…で、せっかくの、なに?」



「あ…えっと…せっかく満点とったんだから、大切にした方がいいと思って。きっと、ご家族の方も喜ぶだろうし…。」






「くだらねー家族しかいねーよ。俺のことなんか誰も気にしちゃいねーから。」




私は、丸くなった答案用紙を手に取ると、両手で開いてシワを伸ばした。




「じゃ、私が代わりに喜んであげる。
おめでとう。素晴らしいよ。こんな点数、私だってとったことないよ。頑張ったね。偉かったね。すごく嬉しいよ。」




清宮くんは、私を見て、目をまん丸くしている。




「もっと喜ぼうか?」



「ばかじゃねーの?」




そういいながらも清宮くんは、答案用紙をきちんと折って、もう一度ポケットにしまった。




「ほんと、うるせーし。」


「あ、ごめん。関わらない約束だったのに。」




「いちいち謝んじゃねーよ、教師だろうが?」




「あ、ごめん…あっ、やだ。」



思わず謝る私を見て、清宮くんの表情が一瞬緩んだ。

口元を手で覆って、尖った目尻がキュッと下がる。




「あんた、思ったよりバカだな。」



「きょ、教師に向かってバカとはなによ!だいたい私がいつも怒られてるのは、あなたの…




そこまで言って、言葉をぐっと飲み込んだ。



「俺のせいだろ。だったらもう、俺には関わんなよ。」



清宮くんは、カバンを掴んで肩に担ぐと、ドアに向かって歩き出す。



「もう暗くなるから、気をつけて帰ってね。」



私は、その背中に向かって声をかけた。




「ガキ扱いすんな。」



清宮くんは、ドアをガンと蹴って振り向くと、



「あんたの男…他に女がいる。」



そう言い残して、教室から出ていった。