総合福祉法骨格提言の整理(その14) | あおいさんの部屋

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その正体は砂糖&黒糖でコーティングされたアンコ。又村です。

先日「くまたパン」がヤバいことだけお伝えしてところ、気になってネットで調べた方がおられたようで、失礼いたしました。最初からどんなものだか書けって話ですよね。


・・という、考えが甘かったネタはさておき、今回から再び総合福祉法骨格提言の内容を取り上げたいと思います。もうすっかり過去のことのようにも思いますが、今月6日までの投稿もご覧になってくださいませ。

【骨格提言の全体はこちらから】
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/index.html

※ 画面の上から4番目のリンク・「設置根拠・構成員名簿」のすぐ上に「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言[1,973KB] 」があります


今回は、「住まい」の支援サービスについて取り上げたいと思います。

現行の自立支援法などの法制度において、障がいのある人の「住まい」は大きく3つの類型に分けられます。

1 一般住宅(持ち家、借家、アパートやマンションなど)
2 グループホーム、ケアホーム(GH・CH)
3 入所施設

これらについては、骨格提言では次のとおり整理しています。

まず一般住宅については、特に施設や病院から地域生活へ移行する人にとって住まいの確保が重要であると指摘し、「民間賃貸住宅の一定割合を公営住宅として借り上げるなどの仕組みが急務である」としています。また、特に借家については入所していると保証人などを立てることができないケースが多いことも踏まえ、「保証人や緊急連絡先が確保できないために住居が確保できない入所者・入院者に対して、公的保証人制度を確立すべき」という方向も示しています。
さらに、公営住宅の障害者優先枠の拡大や、一般住宅に住む障害者への家賃補助、住宅手当等の創設についても提言されています。

次にGH・CHについては、障害程度区分の廃止にともなって、「グループホーム」と「ケアホーム」に分かれている現状を改め、グループホームに一本化する方向が示されています。確かに、現在のGH・CHの区分は事実上「障害程度区分が2以上か否か」によって振り分けられていますので、程度区分が廃止だとすればグループホームへの一本化も当然のことといえるでしょう。
また、「グループホームの定員規模は家庭的な環境として4~5人を上限規模とすることを原則とし、提供する支援は、住まいと基本的な日常生活上の支援とする」と整理しており、特に定員の考え方がより明確化される見込みです。さらに「一人ひとりに必要なパーソナルな支援については個別生活支援を利用できるようにする」という指摘もあり、現在よりもさらに個々のヘルパー利用が広がる可能性があります。その他、「複数の住居に分かれて住むことを認める」という記述もあり、極端にいえば「ワンルームマンションで一人ひとりは個別に暮らす(そういった部屋が4部屋あって、総体としてはグループホームになっている)」という考え方が当たり前になるかも知れません。もちろん、一般住宅同様に家賃補助も提言されています。
一方、グループホームの設置については、「国庫補助によるグループホームの整備費を積極的に確保する」「建設する際の地域住民への理解促進について、事業者にのみに委ねる仕組みを見直し、行政と事業者が連携・協力する仕組みとする」とされ、公営住宅のみならず民間賃貸住宅におけるグループホーム設置を一層促進する方向も示されています。なお、民間賃貸住宅をグループホームへ活用する場合には現在の建築基準法等による厳しい運用(防火壁やスプリンクラーの設置など)を改善するとともに、事業者に対する税制の優遇(不動産取得税、固定資産税などの減額・免除)を設けるなどの優遇策を講じることも提言されました。

最後に、入所施設については、そもそも骨格提言の中に盛り込むかどうかで大きな議論がありました。当初の案ではサービス体系に入所施設は含まれていませんでしたが、現に入所施設で生活している人がいる以上、サービス体系から外すことは考えられないことから、最終的には盛り込まれた経緯があります。
そのような背景があることから、提言の中では「施設入所支援については、短期入所、レスパイトを含むセーフティネットとしての機能の明確化を図る」とされ、さらに「国は、地域移行の促進を図りつつ、施設における支援にかかる給付を行う」「施設は入所者に対して、地域移行を目標とする個別支援計画を策定することを基本とし、並行して入所者の生活環境の質的向上を進めつつ、意向に沿った支援を行う」と整理されており、少なくとも今後安定的に施設入所の支援が継続する前提ではない位置づけとなっています。「施設入所支援については、施設入所に至るプロセスの検証を行いつつ、地域基盤整備10カ年戦略終了時に、その位置づけなどについて検証する」という記述も見られます。
一方、現に入所している人がいらっしゃることを踏まえ、「四人部屋から個室への居住環境の改善等を進める」という方向も示され、さらに近年課題となっている「高齢者の支援や、強度行動障害等により個別的な支援が必要な人及び罪を償った人が地域生活移行を前提に利用できるような支援の強化」も重要な役割とされています。
いずれにしても、今回の骨格提言では「利用者の生活の質の向上のために小規模化(定員の縮小とユニット化)を進めることが望まれる」とされているとおり、入所施設に関しては規模を縮小しつつ役割を明確化する方向が示されたといえるでしょう。


では、次回はヘルパータイプのサービスを取り上げたいと思います。