ナキの季節、アキの始まり | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

逢海司の「明日に向かって撃て!」

ご注意下さい!!私のブログは『愛』と『毒舌』と『突っ込み』と『妄想』で出来上がってます!!記事を読む前に覚悟を決めてくださいね(^^;。よろしくお願いします☆

自信満々で『なつやすみえにっき』を書いた翌日、本人に間違いを指摘されまくったインチキ作家です。

今回はそのリベンジです。

雄輔さんのブログの史実を踏まえて書きました。

私の妄想に勝てると思ったか上地雄輔(いや、誰もそんな戦い、挑んでないし(^^;))


ちゅーことで、今回は水曜ですが『ヘキサレンジャー』はお休みです。

『ヘキサレンジャー』期待した人(居るのか?)ごめんなさい。

ちっこいまんまの上地さんは来週まで繰越です。


だって、今アップしないと、またウソを突っ込まれるんだもん(T▽T)ノ



では、お楽しみくださいませ~~~!



************************************



「俺が恥をかいたるから、『羞恥心』やるぞ!つるのと上地も来い!」


 紳助さんがマイクを握ってステージに上がり、俺らも慌ててその後に続いた。

 合宿恒例のうちあげ宴会。

 それぞれがファミリーの歌や持ち歌を、譲ったり立候補したり強請ったりで歌っていって、俺らもソロ曲(俺の場合はカバーだが)を披露させてもらってたりした。

 けど、次第に盛り上がり、歌も歌いつくしてくると、俺たちの、というか、番組の代表曲というべきあの曲を歌わないわけにいはいかなくなる。

 みんなも期待しているけど、直樹がいないのに、と、なんとなく躊躇した空気が溜まっていたのを紳助さんが察してくれたのだ。

 前回のときも直樹は居なかったが、状況が今と違いすぎる。

 かといってこの曲を避けるのもなんだか現実から目を背けているみたいでイヤだったので、紳助さんが言い出してくれて俺は正直ほっとした。

 代わり、に歌うなら、彼以上に適任者はいない。


「ノックはこんなおっさんじゃないよ~」


 そんなことを言いながらも、雄輔の顔にも安堵の色が窺える。

 本物含めていろいろと失敗しながらも、なんとか歌い終わった『羞恥心』は、会場内をさらに盛り上げる結果になった。

 誰も口にしなかったけど、次は本物の三人でねって、みんなの表情がそう言ってた。

 歌えてよかった。

 そんな気持ちを噛み締めてる俺の視界に。

 俺と同じくらい満足げに座敷に戻った雄輔が、こうゆう場ではサービス精神旺盛の雄輔が、周りの状態ほっといて一人で携帯をいじってる姿が目に入った。

 ピコピコとなにやら打ち込んで、見送るような間の後に閉じた携帯を自分のお膳の上に置く。

 ちょいとステージに目を戻しながらも、意識はずっとその携帯に行ってる様で、そわそわとして腰が落ち着かない。

 何してんだ?と俺も周りの状況忘れてあいつを監視していると、携帯のサブディスプレイが光ってブブブッってやたら大きな音を立てながら振動した。

 珍しい、バイブにしてんじゃん。

 その振動音が想像よりも大きかったのに驚いたのか、雄輔は慌てて携帯を取り上げて中身を確認する。

 一瞬の間。

 そして、にやーって口角をおもいっきり上げた笑顔を浮かべた。

 そっと、騒がしい宴の輪から離れて、窓際、夜の真っ暗な星を見上げながら、携帯に向かって話し始めるあいつ。

 膝抱えて、子供みたいに背中を揺らしながら。

 その横顔。穏やかで、浮世離れしてて。

 俺は流石にピーンと来たね。

 お話に夢中になっている雄輔に悟られないように、後ろに回りこみ。

 素早く、あいつの手から携帯を抜き取った。


「あっ!」


 度肝抜かれた顔で俺を見上げる。

 俺はきっと、すんごくいやらしい顔をしてたと思う。


「もしもし、なおちゃん?」

『え?あれ??剛にぃ??』


 ビンゴだ ( ̄ー ̄)フフン~


「雄輔ったらずるいよな~。こんなときまで直樹を独り占めかよ」


 少し大きくなった俺の声。

 その中にあった『直樹』という単語に敏感にお嬢さん方が反応する。

 いや、お嬢さん方だけじゃなくて、その会場にいた誰もが俺に注目してた。


『まだ宴会続いてるんでしょ?うしろ、声すごいですよ』


 苦笑交じりの直樹だったけど、煩いのは宴会の声じゃなくて、携帯を奪おうと我先に手を伸ばす

お嬢さん方なんだけど・・・。

 あのさ、俺もまだそんなに直樹とお話してないのよ?

 しかし俺の気持ちなんてお構いなしに集って来るお嬢さんたちのパワーに負けた俺は、

壊すなよ、と一言添えてまいちゃんに雄輔の携帯を渡してあげた。


「もしもしー、野久保くん?元気ーーー!」

「ユキ、ユキもいっから!」

「わたしもー(*^▽^*)」


 直樹と繋がったままの携帯は、お嬢さんたちの綺麗な手を行ったり来たりして、

しだいにその数は増えていって、気が付けば女の子が勢揃いで一つの携帯に話しかけてた。

 ・・・・、直樹、ハーレム。

(ちょっと羨ましいぃ)

 考えてみればいくら連絡先を知っていても、女性が用も無いのに男性に電話やメールをするのは、

この業界では気が引ける行為なのかもしれない。

 繋ぎになってやらなくちゃいけなかったんだな・・。

 で、そんなお綺麗なお嬢さんたちの後ろで。

 汚れお手の物な芸人軍団が話したそうにして待ち構えてたりする。

 この分じゃ携帯電話が正規の持ち主のところに帰って来るのに相当時間が掛かりそうだ。

 悪いことしたかな?と騒動の発端となった奴を振り返れば。

 携帯を奪還する事を諦めたのか、窓際に座ったままでお空に鏤められたお星様を眺めてた。

 俺からはあいつの後頭部しか見えないけれど、いろんな感情が滲み出てる背中だった。

 雄輔は、大事な人が多すぎる。

 気に入った相手に『好き』を多く注ぎすぎる。

 そのパワーが何処から生まれてくるか分からないけれど、たまにあいつ自身が、

条件反射のような『大好き』という感情に振り回されているように見えるときがある。


 そんなことねーって。自分で満足いくようにしてるだけだから。


 あいつはきっと、そう言って笑うだろうけど。

 見てるこっちは、たまにあいつの笑顔が痛々しくも思えるときがあるんだ。

 一年間、俺らは近くに居すぎた。

 デビューする前はつるんで遊んで、デビューしてからは分刻みのスケジュールで。

 近くに居れば、それだけ情が移る、心が捕らわれる。

 普通の人間ですらそうなのに、雄輔みたいな性質の奴にはその想いが加速するばかりの毎日だった。

 傍にいることが当たり前。三人で居ることが普通。

 そんな状況に慣れてしまった雄輔は、月に2回の収録日に集まるだけの環境に馴染めないで、

足りない分を補うみたいに、会える時はめちゃくちゃに甘えてきた。


 たまにね、雄ちゃんの『大好き』を信用しちゃいけないって思っちゃうんだ。


 いつだったろう、直樹が寂しそうに呟いた。

 雄輔の「好き」にウソはない。

 だけど、「君だけが特別」って約束されるわけじゃない。

 誰にも分け隔てなく与えられる雄輔の「好き」を常に目の当たりにして、

 あいつの気持ちが真っ直ぐな分、愚直にしか生きれない直樹は戸惑ったのだと思う。

 だからあのとき、あんなに一緒に笑っていた雄輔が壊れたみたいに泣き崩れて、

 直樹のためだけにボロボロに傷付いた姿を見て、直樹も自分が雄輔にとってどんな存在だったか

ようやく納得いく答えを手に入れられたんじゃないかな・・・。


「雄輔」


 呼びかけると、あいつは小動物みたいな目をかまぼこ型に緩ませて、

俺に向かって幸せそうな笑顔を見せた。


「なんだ、また泣いてるのかと思ったよ」

「ちょっとぉ、おれのこと、どんだけ泣き虫だと思ってんの!」

「今年になってから、ここ一番ってときは泣き顔のお前しか思い出せない」


 ばつが悪そうに笑って、まだ余力が残っていますと盛り上がる宴会会場を見渡した。

 雄輔の携帯はいつの間にか芸人さんたちの間を通り抜け、お偉さん方の手に渡ってる。

 

「おう、直樹か?たまにはメールやのうて、直接電話して声を聞かせんかい」


 うちの一番のお偉いさんが『直樹』なんて呼ぶときは、たいてい気分が好い証拠だ。

 俺も雄輔も可愛がってもらってるけど、直樹だってあの人にしてみたら息子みたいなもんで、

直樹が甘え下手なぶん、こうゆうときにかまいたくなるらしい。


「なんや、東京帰ってるんか。車は出せるんやろ?やったらすぐにこっちに来い」


 突然無茶を言い出す彼の言葉に、一同はまさしく目が点になった。

 今からこっちに向かわせたところで、着くのは明日朝になってしまう。

 会いたいのなら、東京に戻ってからゆっくり呼び出せば良いのに・・・。


「明日な、全部のロケが終わった後に野球場をおさえてあんのや。

 女子帰した後に男連中で野球の試合やるから、お前も来い。

 ああ?かまへんかまへん。カメラ回さへんし、草野球の助っ人に呼んどるだけや」


 オヤジの言葉を聞いた雄輔の瞳が、にんじんをぶら下げられた馬みたいに輝いた。

 元木さんがせっかくユニフォームを作ってくれたので、みんなで野球をしよう、という

話にはなっていたが、まさか直樹を呼び出すなんて荒技、この人しか出来ないよ・・・(^^;


「おう、きぃつけて来いや。近くなったら連絡すれば迎えをよこすし。

ユニフォームも忘れたらあかんで」


 満足げに話を終えた紳助さんは、携帯を閉じて直接雄輔に返しにやって来た。


「ちゅーことや。連絡あったら迎えにいったれや」

「てか紳助さん、俺ら、まだ話の途中だったのに電話切っちゃったの??」


 そうである。

 雄輔は俺に電話を取られ、俺はまともに話す前にお嬢さんたちに渡してしまったのだ。

 直樹の声をちょこっと聞いたくらい程度の会話しかしていない。


「えーやんか!明日会えるんやから、そんときゆっくり話しぃや!」


 ワザとらしく憤慨する紳助さんに、雄輔はいたずらな笑みで受け流して、

明日がきっと特別一日になるんだって、確信しているみたいだった。

 直樹は今頃、慌てて急に決まったドライブの準備をしているだろう。

 こいつと同じくらい、ワクワクしながら。

 応援してくれる人たちには申し訳ないけど、これは俺たちだけの秘密。

 もうちょっと、直樹は隠しておかなくちゃいけないから、俺らだけで楽しませて。

 ちゃんとあいつを本物の笑顔にして返すから。



 


 とはいえ、



 隠し事とか少しの後ろめたさがあるほうが、楽しみって倍増するね( ´艸`)プププ

 



(こんなことを考えた報いか、俺は寝入りっぱなにこっちに着いた直樹にたたき起こされた。

 雄輔の携帯に掛けたけど応答がない、って他人の部屋で寝てりゃ気が付かんわな☆

 おかげで俺も直樹もほとんど完徹状態で野球をする羽目になったのある・・・。

 次回からはお楽しみのプランは計画的にお願いします o(_ _*)o。)