きことわ/朝吹 真理子


随分と落ち着いた小説だと思った。

落ち着いたと言うか・・・最後までおとなしい。

他の小説に見られる物語の抑揚がないのだと思う。

そうなるとつまらなくも感じるのだが、

この作品に関してはそれがピッタリなんじゃないかとも思う。

長い年月を経て変わってゆくもの・・・

それは空白の時間が長ければ長いほど多いことだと思う。

しかし、どんなに年月を経ても変わらないものもある。

そんなことを貴子と永遠子の関係から思わされた。

ところどころ昔を思い出しつつも、

四半世紀もの隔たりがあったとは思えないほど

普通に溶け込んでいる二人を見て、

素直に「いいな」、と思った。

こういう人間関係が一番だと思う。

ことに様々な柵に囚われる現代社会における人間関係では。


影丸の一言:
あと一冊で大学入学後70冊読破!!
今からの生活を考えると卒業までに100冊はどうかな・・・
こういうのって自己PRになるんだろうか?