防御力No.1とは? | ネット犯罪者なんていらない

防御力No.1とは?

「防御力No.1」という見出しをCMで見て驚いた。
http://jp.trendmicro.com/jp/threat/technique/nss/defense/index.html

防御力という言葉は、普段セキュリティ業界では聞き慣れない言葉だからだ。

AV-Testが行っている「検出率」
これは、この団体が選出した約100万種の検体を「どれだけ検出したか?」というものだし
ウイルスブリテンの「VB100% AWARD」は、同様に「WILD LISTに100%対応したか?」というもの。

では、防御力とは、なんなのだろう?
トレンドマイクロのページによると
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第三者テスト機関 NSS Labs(*1) が独自に行ったエンドポイントセキュリティの製品比較テストにおいて、トレンドマイクロが他社と比較して最も高い防御力を発揮しました。

法人向け製品テストにおいてはウイルスバスターコーポレートエディション(*2)、個人向け製品テストにおいてはウイルスバスターがそれぞれ他社製品よりも優れた評価を受けました。
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とあるが、
非常に巧みなレトリックが使われていることが伺われる。
それは発表データのどこをみても「NSS Labsが”防御力”の高いという格付け」をしたという表記が見当たらないことが、その部分にあたる。

NSS Labsは、受託によってEvaluation(評価)をする期間であり、
「防御力が高い」とは格付けていないのだ。

「防御力」という格付けは、一体誰がつけたのかが不明瞭なのだ。

音程が完璧にとれて歌った人を「歌唱力NO.1」と位置づけるのと同様
「音程が全て完璧だった」ことと「歌唱力」とは、決して結びつくものではないはずだからだ。


もちろん検出率だけが、全てではない。
このことは、評価団体も考えており、AMTSOという団体が設立されている。
この団体は「検出率だけに、とらわれない公正な評価をしていこう」というグループ。
http://amtso.org/members.html
ここにNSS Labsの名が無いことも気になるところだ。


「検出率だけではない」と言うことだが、~率ではなく
検出種類数で、見てみると、こんなグラフになる。

$ネット犯罪者なんていらない

検出率99%と比較すると160倍のウイルス種に対応できてないことになる。


どんなテストも完璧というものはないが、
いろいろなテスト結果には「なるほど」と思える部分がある。
しかし、今回の防御力NO.1テストから感じたのは
「広告マーケティング」の力だけである。