2008年冬、派遣切りに遭った人たちを救済すべく、東京・日比谷公園で行なわれた「日比谷派遣村」が全国で衝撃を与えました。
しかしながら
「そうは言ったって、選ばなければ仕事はあるはずじゃないか?」
「仕事に行けばいいのに」
「失業しているのに贅沢を言って働こうとしない」
「求人票自体はあるのに、なかなか利用しない」
そんなふうに言ってる人やマスコミの論調が非常に多くありました。
しかし、それも客観的データで言っても「日本の労働者が仕事を選んでサボってるって話は本当なのか?」というのが、下の資料から見れば分かります。
この資料をご覧ください。
これは日本・米国・欧州の失業率・相対的貧困率(※1)の比較を表したグラフです。
失業率の一方で貧困率、つまり非常に貧しい条件で働く、いわゆる「ワーキングプア」と言われる生活保護水準以下で働いている人がたくさんいるという、そういう状況であって、それが望ましい状態なのかは到底言えないわけです。
(※1)相対的貧困率とは、所得の一番高い人から一番低い人までを順に並べた時、真ん中に当たる人の所得の半分以下の人の割合で、例えば日本では労働人口が約5000万人いますが、その真ん中(2500万人目)の人の所得額が中央値となり、日本の場合の中央値は228万円です。「貧困」というのは、その中央値の半分にも満たない、つまり年収114万円以下で働いている人を「相対的貧困」として定義しましょうというのが「相対的貧困率」という数字です。
つまり、例えば日本の場合で言えば年収114万円と言う、自立できると思えないような年収をもらっている人がどれくらいいるのかというのを、日本・米国・欧州で比較しているグラフなのです。
一目見てお分かりでしょうが、日本は失業率は割と低めですが、相対的貧困率はかなり高いです。
それに比べて欧州諸国は、相対的貧困率は約10%前後と、むしろ失業率の方が日本・米国より高いというのがお解りになると思います。
つまり欧州は…
「高失業・低貧困」
失業しても社会保障を利用しながら適切な仕事を探している
ということになります。
福祉・社会保障が日本よりも整備されているので、それを利用しながら職業訓練を受けたりして、次に自分がずっと続けられるような仕事を選んでいこう。政府もそれをしっかりサポートしていこうというのが欧州の国々です。
ですから失業保険の給付期間も約2~4年。国によっては無制限というところもあります。
ですが、日本の場合はどうでしょうか?
日本は
「低失業・高貧困」
これは何を意味しているかと言うと、日本では失業してしまったら失業保険給付はすぐに切れてしまう。非正規労働者の人などはそういったサポートさえありません。ということになるので、どんなに条件が悪くてもとりあえず働くしかない。
だから条件が非常に悪い求人があっても、とにかく生活するために、まず飛びつかなくてはならない。
「なんとかしなければならない」というのが、日本の社会なのです。
だからどんなに労働条件が悪くしていっても、人が集まります。
そしてさらに貧しくなる。
これが「貧困の連鎖」なのです。
こういうふうに労働条件がさらに悪くなるパターンが、日本・米国なんです。
その理由は、社会保障の支えがないために非常に悪い状況でも人が集まるからです。ですから失業率は欧州諸国に比べて低いです。
仕事が選べないから、待っていることができないから、人間らしい仕事なんて言ってられない。そうなると仕事が続かない。
さらに悪い条件パターンへとなっていきます。
結論として言いたいのは結局…
日本の労働者が仕事を選んでいるというのは、全く実態に合わない。世界の標準からみたら実態に合わない。
むしろ仕事を選ばないで自立しようと責任感を持って頑張ろうとしている人が、そのことを逆に利用されてしまって、さらに悪い条件で働かされ「ワーキングプア」になり、そういう悪条件・悪循環に陥れられていく。
頑張らないから「貧困」になるのではなくて、頑張り過ぎて「貧困」になる。と言った、非常に許しがたい状況にさせられている。
これが日本の特徴です。
雇用の質を落とす結果、「貧困の連鎖」というものになってしまっているわけです。
2012年2月18日
下関市立大学准教授 関野秀明氏講演
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