臥薪嘗胆 ~マツダ訴訟裁判奮闘記~


 「われわれは99%」と、貧困と格差に反対する運動が全世界に広がるなか、野田政権は派遣法の「改正」案を骨抜きにする「修正」案を昨年の臨時国会に提出し、継続審議となっていました。


 登録型派遣は、仕事がある時だけ派遣元が労働者と雇用契約を結ぶというもので、派遣労働者は派遣先の雇用調整弁とされ、常に失業の危険と背中合わせの非常に不安定な働き方です。政府案はこれを「原則禁止」とするものでしたが、修正案は「原則禁止」を削除しました。


 1999年に労働者派遣は原則自由化され、2003年にはさらに製造業派遣が認められました。この結果、工場などでの派遣労働者が急増し、2008年のリーマンショック後は、大規模な「派遣切り」が行なわれ、「年越し派遣村」の開設で、派遣労働は大きな社会問題となりました。政府案は、製造業派遣について、短期契約を繰り返す「常用型」派遣を例外とするなど不十分なものでしたが、それでも製造業への派遣を「原則禁止」としていました。ところが修正案は、この「原則禁止」をも削除して骨抜きにしました。


 政府案では期間の制限を超えて違法派遣になった場合など、派遣先への直接雇用が義務付けられる「みなし雇用規定」は、修正案では3年後に施行と先送りされています。


 2009年総選挙で民主党は「常用雇用を拡大し、製造現場への派遣を原則禁止します」と約束して、政権交代になりました。「違法派遣」と闘うマツダ原告団の方の怒りの声を寄せて頂きました。



(Aさん)

 リーマンショックの後、私たちを含む多くの派遣社員の犠牲があって、現行の「労働者派遣法」が大きな社会問題となりました。

 二度と「年越し派遣村」などが起きないように、多くの国民から抜本改正を求める声があがっているにも関わらず、政府民主党は自民・公明に対して、政治取引の材料にしようとしています。

 これは、国民に対する背信行為であり、絶対に許されません。今後は、ユニオン山口の仲間と連帯して、この骨抜き修正案を廃案にして法案の抜本改正を実現するよう頑張ります。


(Bさん)

 私は今、職業訓練校に通っていますが、求人票はほとんどが派遣や期間工などの非正規社員です。このような「骨抜き派遣法」が国会で可決されると将来が非常に不安になります。

 立場の弱い自分たちだからこそ、もっと学習をして視野を広げて、この法案を廃案にするように運動したいと思います。


(Cさん)

 新聞を見て、とにかく怒りがこみあげました。民主党・自民党・公明党は財界や大企業の言いなりで、大多数の国民の困窮ぶりや生活不安にまったく目を向けようとしない。マスコミも一部新聞が取り上げただけで、ほとんどのメディアは黙殺している。

 このような閉塞した社会を打ち破るためにも、私たち自身がもっと学習をして抗っていかなければならないと痛感しました。


(そらみみさん)

 そもそも派遣法改正は、3年前のリーマンショックに端を発した「派遣切り」が社会問題になり、二度とこのような悲劇が起こらないようにするためのものだったはず。政府関係者は今回の改悪の理由を「震災や急激な円高など、当時とは状況が変わったため」と言うが、派遣労働者を取り巻く状況は何も変わっていない。

 労働者派遣法は財界や大企業だけのものではない。誰のための派遣法改正なのか、派遣労働者の目線から見て慎重な議論をしていくべきである。



ユニオン山口ニュース 2012年1月5日付 より抜粋