臥薪嘗胆 ~マツダ訴訟裁判奮闘記~

派遣法改正案の不備改善を


全国ユニオンが厚労省に要請 「雇用安定が不十分」



 労働者派遣法改正案の問題点の1つが「常時雇用」の定義だ。法案は製造業務派遣を原則として禁止しているが、定義の仕方によっては大きな抜け穴が出来てしまう。全国ユニオンは1月20日、国会内で厚生労働省の担当者と意見交換会を持ち、こうした法案の不備にしっかり対処してほしい、と要請した。



見込み違い解雇?



「常時雇用」が問題になるのは、こんなケースだ。



派遣会社:派遣先は自動車工場で、期間はとりあえず3ヶ月。よろしく。


派遣労働者:3ヶ月以降も仕事はありますか?


派遣会社:トータルで1年以上はある見込みだ。


派遣労働者:見込みが違ったらどうなりますか?


派遣会社:見込み違いの時は、あきらめてくれ。



常時雇用がくせもの



 改正案は、製造業務派遣を原則禁止している。ただし、1年以上の雇用見込みがあれば「常用雇用」としみなして、派遣できる。この「1年以上の雇用見込み」というのがくせものだ。


 3ヶ月契約を5回更新する予定なら、1年半。でも、見込みが違えば3ヶ月で解雇。悪質な派遣会社では「常時雇用」にみせかけるために3ヶ月しか仕事がなくても1年半の見込みと偽るケースもあり得る。これは許されるのか?今の不安定な派遣の働き方と同じではないか?など疑問の声が上がっている。


 この日、全国ユニオンは「見込み違いによる解雇をどう防止できるか」と質問した。職業安定局派遣・有期労働対策需給調整事業課の担当者は「無期雇用を一番推奨する」としつつも、「例えば3ヶ月契約の5回更新なら、口頭ではなく書面で書かせる。そういった内容の指針を出せれば、と考えている。」と答えた。


 全国ユニオンは、雇用安定という点ではまだ不十分だとして、今後も要請を行なっていく考えだ。


 このほか、全国ユニオンは派遣と請負の区別について昨年厚労省が出した「疑義応答集」の白紙撤回・書き直しを要求。労働者なのに業務委託契約を結んで個人事業主扱いする「名ばかり事業主」が広がっているとして、きっちり労働基準法や雇用保険、社会保険の適用・加入が行なわれるよう行政側の指導強化も求めた。



2011年 1月25日  連合通信・隔日版  より