臥薪嘗胆 ~マツダ訴訟裁判奮闘記~

経済情勢好転しても賃金抑制


11年度 経労委報告 「国際競争力の向上」前面に 



 日本経団連は1月17日、春闘交渉の経営側指針となる「2011年度経営労働委員会報告」を発表した。「国際競争力の向上」を前面に打ち出し、総額人件費抑制策を続けようとしているのが特徴だ。


 賃金改善をけん制


 タイトルは「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」。危機からの脱却を掲げた昨年、一昨年から一転、経済情勢の好転を反映する内容となった。

 

 一方、人件費を抑制する姿勢は相変わらずで、業績変動には一時金で対応すべきと述べている。日本の賃金水準については、競合する他国と比べ「圧倒的に高い」との見方を提示。定期昇給制度や賃金カーブの見直しも示唆している。


 賃金水準の回復によってデフレ脱却を図るべきという労働側の主張に対し、社会保障などの国民の将来不安が解消しない限り、賃上げしても「消費支出につながらない」とデフレ対策としての効果を否定した。


 そのうえで、連合が掲げる「1%の配分増」要求について、「仮に所定内賃金の1%の改善要求であるならば、極めて厳しい」とけん制。「定期昇給の維持に焦点を当てた賃金交渉を行なう企業が大半を占めると見込まれる」とした。非正規労働者の処遇改善も総額人件費の枠内にとどめるスタンスだ。


 10年間で倍増した内部留保を処遇改善に一部回す、との主張にも言及。内部留保は設備投資や研究開発のために不可欠な原資だとし、処遇改善に回さない考えを改めて示した。


 労働者派遣法改正案の見直しを求めているほか、有期雇用の規制強化にも反対を表明している。地域別最低賃金の引き上げに懸念を示し、特定最賃(旧産別最賃)については廃止を求めた。



2011年1月20日  連合通信・隔日版より