7月17日、ショートトライアルプロジェクトなる映画の上映会があったのでオーディトリウム渋谷というところまで観に行きました。
 これは、いつもお世話になっておりますゲキ塾。の塾頭=妹尾青洸さんの出演作『ありがとう。』の上映&舞台挨拶がおこなわれ、塾生さんたちも応援のため来場されるとのことで足を運んだ次第であります。
 このショートトライアルプロジェクトというのが私にもよくわかってないのですが、その概要については以下のように記述されていました。

――株式会社アドウェイズ・ピクチャーズと同社が運営するワークショップ:パフォーミングアカデミーによって、毎年、年間8~10本製作し、オムニバス形式で劇場公開していくプロジェクト。未来ある役者と才能溢れるクリエイターとの出会いから生み出される「コンテンツの可能性」を短編映画という形で追い求めます。長編映画では出来ないトライアルも含めて短編映画を自由に制作し、国内外の映画祭に出品し、日本コンテンツの可能性にチャレンジする企画です。注目の監督陣・俳優陣が繰り広げる世界をご堪能下さい
――

 えーと、それでもよくわからないのですが。 σ(^_^;)
 つまり、将来性あるアーティストの方々による短編映画の発表会のようなものと解釈したらよろしいでしょうか? 違ってたらスイマセンよ。

 

 

 当日は例によって時間を間違え、たどり着くまでは相当に迷ったものの(数年前、1ヵ月ほど通った場所の近所だった)、それでもなんと3時間も早く着いてしもうた。ですが受付でチケットを買うことはできたので購入することに。
 その際、AとBのプログラムに分けられてることを告げられ、どっちかなら1000円、通し券なら1200円という説明を受ける。よくわかってなかった私は妹尾さんが出ているプログラムAのほうだけ購入したんです。
 とりあえずチケットはゲット。
 だけど時間までどうしようか。外(道玄坂)をウロウロしようかとも思いましたが雨が降り始めたのでファミレスへ入る。そこでドリンクバーでもやりながら時間を潰すことに決め込みました。

 居眠りするのを店員に注意されつつ時間が来まして、先ほどの道を引き返します。私が館内に入った直後でサングラス姿の妹尾さんも入ってこられ、私と目が合うや「あー、どうもどうも!」と握手してくださいました。
 妹尾さんはエレベーターでどこかへ行かれましたが、まだ時間には余裕があったので、その場に貼ってあったチラシなどを眺めておりますと、上の階からショウタさんが階段を下りてこられました。
「あ、こんにちは! もう(ゲキ塾。の)みんな来てますよ」
 映画が上映される場所は2階なのですが、上へ行ってみますと既に塾生さんたちは列に並んでおられました。皆さん、私が来たのを知るや元気に挨拶してくださいます。ここの方々は本当に礼儀正しい。そこへ私みたいな不躾な者が紛れてもいいのだろうか? という疑問も抱きつつ、なんとなくなんとなく列に加わる。
 ショウタさんの他には、ぐっちょさん、さん、ゴイチさん・・・そして先日、ゲキ塾。をひとまず離れることになったロクさんもおられます。そうそう、1月いっぱいで役者をいったん引退されたユウヤさんも応援に駆けつけました。
 もうひとり、新入りの女性もいらっしゃったのですが、ずーっとマスクをつけてたので顔がわかりません(笑)。ちなみに、お名前が櫻井里菜さん(通称:りな平?)と仰るのを知ったのは10月になってからです。
 劇場へ入りますと、私は塾生さんたちが並ぶ席の横へ座らせていただくことになりました。りな平さんの隣になるのですが、彼女には他の塾生さんから私の説明があったわけではないらしく、終始「この人、誰だろ?」的な表情をされてました(笑)。

 


 やがて妹尾さんをはじめプログラムAの代表として『ありがとう。』の出演者や監督さんらが登場、ちょっとしたトークショーのような様相に。どういうわけか妹尾さんが申しわけなさそうな佇まいで立っておられるのですが、やはりその巨体はぜんぜん小さくは見えません(笑)。ですが塾生さんたちにとっては、我らが塾頭の勇姿を頼もしい想いで見ていたことだと思います。
 そんななか、私はちょっと焦っておりました。ここへきてさっきドリンクバーでお茶を飲みすぎたのが災いし、おしっこしたくて堪らなかったのであります。それも、近年にはないほどのっぴきならぬ勢いで尿意が襲ってくるのでございますよ。
 ヤバイなぁ
ヤバイなぁ、このあとトイレに行ける時間なんてあるかなぁ~。 (((( ;°Д°))))

 舞台挨拶後は、無情にもそのまま映画の上映が開始されてしまいました。が、なんか映画の途中で少しでも席を立つのはモッタイナイ気がするので、このまま行けるところまでトライしてみることにしました。危険を伴いますが。
 案の定、途中で冷や汗が出る想いでの映画鑑賞の時間となりましたわよ。正直、ひとつ終わるごとに「もう終わりかな~? ・・・ありゃ~、まだあったのね~ ヽ(;´Д`)ノ」となる瞬間もあるにはありました。襲いくる波は、まるで駆け引きを楽しむかのように「寄せては引く」を繰り返します。
 しかし、上映される作品が妹尾さん出演作のみならず思いのほか秀作揃いだったこともあり、見入ることで尿意が和らぎ、その結果、無事に乗り切ることができたのです。眠気とも無縁になりましたし。無論、本当に終わったあとは一目散にトイレへ直行ですよ。

 トイレへ行っトイレ。

 じょんじょろじょ~・・・・・・。
 まぁ~出るわ出るわ。このままエンドレスに出つづけるのかと思うほどに。

 で、もう帰るのかなーと思いきや、また塾生さんたちが並んでるんですよ。どうやらプログラムBのほうも観ていくらしい。Aのほうでこの上映会がいいものだというのは理解できましたんで、私もBを観ることに異存はありません。
 ただ、私が持ってるのはプログラムAの単独チケットだけです。もういっぺん受付で買い直しをすることになります。その結果、最初から通し券を買ってれば1200円だったところが2000円になってしまうハメに相成りましたのよ。 
⌒⌒⌒⌒⌒/(_Д_)\
 まぁそれでも内容がいいので安いくらいでしたけどね。


 またおんなじ席に座り、こんどはプログラムB代表『MinestronE ミネストローネ』の舞台挨拶です。やはりAのときと同様、出演者や監督さんらが登場し、トークショーのような様相。そのあと映画上映といった運び。
 プログラムAが5作品だったのに対し、Bのほうは4作品。正確に時間を計ったわけではないですが、比較的Bのほうが上映時間の長いものが揃っていたような気がしました(あとで調べたら両プログラムとも総上映時間は約75分とのことでしたが)。しかし、もうおしっこを我慢しなくてもよくなったので私的には快調なんであります。

 すべてのプログラムを終了すると、配布されていたアンケート用紙にAとBから各1作品ずつ最もよかったと思うものにチェックを入れて投票するシステムが。これつまり、私らが審査員になったようなものでして・・・いいんかいな?

 


 というわけで、上映された9つのエントリー作品のなかから、全温度チアーさんが独断と偏見で選んだものをいくつか紹介してみたいと思います。
 

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原廣利監督『ありがとう。
(茨城プロジェクト特別プレミアム上映プログラム)

上映時間:11分

 妹尾さんが出演された作品。塾生さんたちを含め、私たちはこれを観るために足を運んだようなもの。また、妹尾さんですら出来上がった映像は未見らしく、どんなふうに仕上がってたのかもご存知なかったそうです。
 父(演:妹尾さん)と娘が二人暮らしをしていて、もうすぐ娘のほうが嫁ごうという時期。どことなくよそよそしくなる両者の心もようを描いたヒューマンドラマといったところでしょうか。
 この説明だけ見ると、最初は親子関係が悪化する話なのかなーと思ったんですが、そうではありませんでした。なんとなく出来てしまうデリケートな距離感を描いたものといいますか・・・。
 この「嫁ぐ前によそよそしくなる」という心境、正直に言いますと、お嫁に行った経験のない私にはまったく理解不能なんですよ。そこに関しては「ああ、そういうものなのかなぁ」と思うしかないんです。
 しかしこの作品、事件らしい事件はいっさい起こりません。ありふれた日常の一端が描かれているという点では
小津作品に近いようにも思えます。
 そんななか、娘との距離にどうしていいのかわからずにいる表情や、その巨体を持て余すようにして洗い物をする父の後ろ姿が印象的な画となっています。
 最終的には妹尾さんの怪演といいますか絶妙な変顔(?)により観る者をクスッとさせて終了という、小津作品との差別化が明確になった終わり方でした(笑)。
 思えば映像で見る妹尾さんといえば『
超人機メタルダー』の他にはあんまり知らなかったのですが、それとは違う「おっさんの哀愁」が出ていて素敵だったと思います。
 また、ヒロイン役の坂井裕美さんはモデル出身で、今回のが役者としてのデビュー作とのこと。でもデビューには見えないような堂々とした演技だったなーと思いました。

 

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門馬直人監督『MinestronE ミネストローネ
上映時間:22分
 某飲食店にて。これから密かにヤバいモノの取り引きがおこなわれようとするのだが、突如として売人が下痢に見舞われトイレに篭ったことで、勘違いと可笑しな事象が連鎖的に起こる様をコメディタッチで描いたような作品。
 出演者の方たちが舞台挨拶に訪れたからではありませんが、個人的にプログラムBでは最も面白いと思った作品でした。
 でも、その面白さを文字に起こすことは不可能です。ただ、落語を見てるかような展開で、テンポもいいし、この日いちばん笑える一本だったと思います。

 

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前田万吉監督『ドブネズミからの手紙
上映時間:20分
 全温度チアーさん的には、この作品が突出していました。
 妹と二人暮らしの兄が主人公。兄も妹も、お互いを大事にする優しい人柄です。ただ、兄のほうは何をやってもダメそうなドン臭い男でして、勤め先が長続きしない繰り返しの果てに現在は妹には内緒で振り込め詐欺で働いている状況。
 ところがこの兄、根っからの善人でして、悪の道に染まりきれず、組織のなかでも足を引っ張るダメダメ男だったのです。
 そんなある日、妹の結婚が決まる。突然のことに動揺するものの、無条件で妹の幸せを喜んでみせる兄なのでありました。
 しかし。その兄が殺人事件に巻き込まれます。妹の将来を案じた兄がとった行動。それは、ドラム缶のなかで焼身自殺を図るというショッキングなものだった!
 そんな手段しか思いつかなかったのかというツッコミどころもあるにはありますが、そこは「整合性よりもインパクト」を重視する全温度チアーさんですから。この最悪なシナリオは大歓迎なのでありますよ。
 結局、妹が駆けつけた際には、時すでに遅し・・・まったく救いの無い結末でありました。

 こういう、いっさい客に媚びない展開は大好物! 特筆すべきは、この妹役を演じたのは『ありがとう。』にも出ていた坂井裕美さん。この方は常にホンワカした笑顔を浮かべておられ、災いが起こらない世界に住む妖精さんのような雰囲気をまとってるんですよね。
 そんな彼女を絶望のどん底に突き落とすという非情なラストシーンがじつに壮絶でして・・・。

 世の中には、いわゆる「使えないやつ」とされる方たちがいます。頑張って克服しました、立派になりました・・・そういう人たちはいいです。だけど、どうしてもどうしてもどうしてもダメなところから抜けられない不器用な人もおられるわけで。
 通常、そんな人らの面倒をいつまでもみてくれるほど世間は優しくないものだと思います。やがては排除されますよ。
 でも、ただ排除するだけでいいんか? 彼らの居場所がどこにも無い状況に追いやるのは、それこそ優秀な人材だけを残してダメ人間とされる者は消すことでユートピアを築こうとするショッカー新人類帝国などの思想と一緒ではないのか?
 ・・・そんなことまで考えさせられる作品でした。なお、どっちかというと私もダメ人間です。

 

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他作品の予告動画も観たい方はコチラをどうぞショートトライアルプロジェクト作品
 

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 そんなわけで、思いがけず素晴らしい作品が揃っていたショートトライアルプロジェクト。じつは私、劇場で映画を観るのはかなり久しぶりのことでして。
『スター・ウォーズ』の旧三部にCG技術を用いて再公開したやつを観て以来、近年の映像モノにはすっかり失望してしまい、それ以降はCSなどで古い映画ばかり観ていて新作の映画を観るために劇場まで足を運んだ記憶がないのですよ。
 今回、まだ現代の映画でも、やればできるんじゃないか、という光明のようなものを感じた次第であります。

 館内から出る際、笑顔で見送ってくれる坂井さんの前を通り、あらためて妹尾さんともご挨拶。映画を観る前後に出演者と対面するというのも不思議な感覚です。

 

 

 このあと塾生の皆さんはお食事へ。私も、なんとなくなんとなくご一緒させていただくことに。妹尾さんは関係者の方々と合流されることになりましたが、それでも私的には本物の役者さんたちと映画の意見を交換し合うという貴重な場面に遭遇することになったわけですから有難いことです。
 皆さんの意見はかならずしも私のものと一致するわけではないのですが、先ほども書きましたように「整合性よりもインパクト」という私の意見も尊重してくださったり、「脚本や役者さんがどんなによくても、CGを使われたらすべてぶち壊しにされたような気分になる」という意見には「あー、わかります」という声をいただいたり。
 いまにして思えばこのときの全温度チアーさんは、本物の役者さんを前にしながら言いたい放題でありました(苦笑)。さらには、なぜか『レッドマン』の素晴らしき残虐性について切々と語ったり・・・。塾生の皆さん、あんな話にも笑いながら聞いてくださいましてありがとうございました。というか、なんかスイマセンでした。 
<(_ _)><(_ _)><(_ _)>
 そういえば、以前までは観たばかりの映画について他人の意見なんか聞きたくないと思っていた時期もあったんですが、そんなことはまったく気にならず。「あの二人、上手かったねー」「あの話は納得できない」といった各々の見解も楽しく聞けるようになっていました。

 なお、りな平さんは残念ながら早々とお帰りになられまして。とうとうマスクを取らぬまま行っていかれました。
 念のため申し上げておきますが、マスクといってもタイガーマスクのような覆面姿だったわけではないですよ。でも、どうせならこのまま素顔を明かさずパペットマペットみたいに斬新なタイプの女優さんになるのもアリかもね。

 あと、映画にはぜんぜん関係ないんですけど、ショウタさんが日本唐揚協会唐揚げ検定試験に合格したとのことで、唐揚げ愛を熱く熱く語ってくださいました(笑)。
 あまり他では聞くことのない珍しい話題だったこともあり、圧倒されるしか術のない事態なのではありますが、ショウタさんの語り口が面白いので、もっと聞いていたくなるような不思議なひとときに包まれたものです。

 


 家に帰ってネット見たら、もうショウタさんのブログが更新されていたんですよ。帰りながら記事を書いてたのかなぁ。
 記事の内容は、唐揚げについて。どうやら、あの勢いのまま書いてしまったらしい。ショートトライアルの記事は翌日でした(笑)。

 いつかショウタさんが唐揚げの役で映画出演する日が訪れますように。 (。-人-。)