熊本市の殺処分減少への取り組みを書いた本「殺処分ゼロ―先駆者・熊本市動物愛護センターの軌跡 [単行本(ソフトカバー)]」に変なレヴュー(*1)があったので少し検討してみました。

 その中で気になったのは「・熊本県全体での殺処分数は自体はむしろ増加している。」という部分であるが、果たして事実なのかデータを参考に考えてみまた。

 この議論は、熊本市の殺処分減少の取り組み(できるだけ引き取らないようにする事など)で、熊本県での遺棄された動物が増えているとの指摘が殺せ殺せの動物福祉の人やその支持者である動物福祉の関係者と思われる人たちからあるようだが、それが本当であるかどうか検討してみた。下記は両自治体における殺処分数の推移である。何故殺処分の推移を出しているのかといえば、熊本市の試みが殺処分の減少にあるからであり、当然比較対象は殺処分という指令性を持つものとなる。果たして彼女らの言うように、熊本県で遺棄が増えた結果、殺処分は増えているのだろうか。

 一番解かりやすいのは犬だろう。なぜかというと、狂犬病予防法に基づいて積極的に直接、捕獲されるからである。猫の場合は、行政による捕獲の対象とならないので捕獲されるわけで、数字があいまいになる傾向が強いからである。本来は遺棄事件として警察のデータを見るのが本筋だと思われるが、事件としてさえ扱われていない現状のため、見ることはできないし、見たところで全く意味がないことになる。

 犬の殺処分は熊本県でも順調に減ってきており、熊本市の相乗効果があったという事だろう。
ネコは一時的に増えているが、同時期には熊本市も増えていることから全体的な現象であると考えられる。そして最終的には熊本市の取り組みの相乗効果のためか減少に転じている。


空のブログ(動物愛護・アニマルライツとは)
空のブログ(動物愛護・アニマルライツとは)
空のブログ(動物愛護・アニマルライツとは)
空のブログ(動物愛護・アニマルライツとは)


出展 http://www.sanponiikou.net/jin_rimosanpo_ri_he/data.html

 上記のように同年度同士を足していけば、熊本市の取り組みの効果で、殺処分合計頭数が減ってきている事がネコの場合でもわかる。

 しかし、穿った味方をしなければ、つまり普通に考えれば、努力する行政(熊本市)と努力しない行政(熊本県)の差が出ているということであろう。つまりこの事実は客観的結果だといえるだろう。

そして、数字に表れにくい部分として、仮に遺棄した犬猫やそれによって生まれた子猫などがいて、餓死したり交通事故に遭って死んだりしているとしても、全ての遺棄された犬猫がそうなっているわけでは無く、捕獲や持ち込みは確実に増えているはずである。しかしグラフでは全国の傾向と同様の変化を示しているか、減っているためにそういう事実はあまりないと推測できる。従って、事実上、直接的に数字に表れない見えない部分での犬猫の遺棄による被害はあまりないと推測されることになる。

 以上のことから総じて熊本県の殺処分数は減少傾向にあり、動物福祉の人たちの言うように熊本県での遺棄の増加により殺処分数の増加は認められない。

 動物福祉は熊本市の取り組みを非難したりして、そこまでして殺処分の減少を阻止しようとして何のメリットがあるのだろうか?殺したい人意外には誰にとっても何のメリットもないと思われれるが・・・開いた口がふさがらないとはこういうことを言うのだと改めて思った次第である。

 そして、犬猫は畜生だから殺せ殺せという種差別主義の動物福祉は、もう時代遅れということができるだろう。



(*1)

http://amzn.to/LZTqF2

この舞台となっている熊本市動物愛護センターなのですが
いくつか肝心な部分がおそらくですがあえて省かれて書かれております。
都合のよい点しかかかれないのが残念です。
功罪含めて記述するのがジャーリストだと思います。

・熊本県全体での殺処分数は自体はむしろ増加している。
・県が殺処分専門の「熊本県動物管理センター」と殺処分しない「熊本市動物愛護センター」を業務を分担しただけということ。
・「熊本市動物愛護センター」で引き取ってくれないので、周辺の市外の保健所や捨て犬捨て猫が大量に放棄されている。
・ジャーリストが美談として「熊本市動物愛護センター」を取り上げたために、問題の核心がぼやけてしまっている。
・殺処分される原因としてのペット業界を儲けさせている「動物愛好家」への糾弾。



クリックお願いします。
      ↓
にほんブログ村 その他ペットブログ 動物愛護(アニマルライツ)へ
にほんブログ村
にほんブログ村 犬ブログ 犬情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 猫ブログ 猫情報へ
にほんブログ村