義両親の最後の旅行は、
フランスだった。
母が、どうしても行きたいと。
ずっと、ずっと、願っていた場所。
母が、宣言したことは、必ず実行する人だ、と解っているので、
家族は、誰も止めなかった。
父さえも。
デジカメに残された写真は、
元気そうで、どの写真も満面の笑みで、本当にうれしそうで、しあわせそうに笑っている。
まるで少女のよう。。
父と手を繋いで歩いたらしい、
パリの街並みの中で、
母は、きっとしあわせだったろう。
もしかしたら、旅行が、母の死期を早めてしまったのかもしれないけれど、
たくさんの笑顔を見ていたら、
願いが叶って、よかったね、おかあさん。
と思う。
土産ばなしを聞くことなしに、
お土産だけが、
今、わたしの手元にある。