[本] / 1ドルの価値/賢者の贈り物他 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。



今から100年以上前といえば、明治時代。
その時代に人気を博したアメリカの作家の短編集です。

この作家の作品に初めて触れたのは、私が高校生の時。
英語の副読本で "The Last Leaf"(最後の一葉)を読みました。
でも要約版です。 (もちろんリアルタイムに読んだのではありません)

人の感情のツボを押さえた気の利いた短編だ
と感じたことが強く印象に残っています。


   ◆      ◆      ◆

 

 


探せばいそうな市民の日常の一場面をとりあげ、
皮肉や賞賛を込めて日常の暮らしに潜む人の心を描いています。

例えば、「最後の一葉」は、
若き芸術家(志望)たちが集まったグリニッチ・ヴィレッジで、
肺炎で助かる見込みの薄い若い女性を、
何とか励まし生きる望みを芽生えさせようとする人たちの話です。
この地域らしい温かさと切なさに心が動かされました。

ラストの一篇「賢者の贈り物」は
貧しい若夫婦の妻が、クリスマス前日にお金がない中で
夫へのプレゼントを用意しようと懸命に知恵を絞ります。
二人が用意したプレゼントは皮肉な結果をもたらしますが、
そこから相手を思いやる気持ちのすれ違いが切なく温かい話。


   ◆      ◆      ◆

貧しく弱い者には温かい視線を送るのかといえば、そうではなく、
愚かな考えの結果貧しい者には批判的で、
貧しくとも誠実に生きる者には暖かな視線を送ります。

また、当時の最先端の職業で経済的に成功をおさめている者には
懐疑的な態度で筆を運んでいます。
この視線は、時代が変わっても小説家の視線は同質なんですね。



[end]


*** 読書満腹メーター ***
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