自然、時代、自分と向き合う / 現代秀歌 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。



又吉直樹の「火花」の売れ行きが騒がれたのはついこの前。
30年前「火花」をしのぐ280万部のベストセラーがありました。
私もその本を買った一人です。

  この味がいいねと君が言ったから
  七月六日はサラダ記念日


この短歌をタイトルにした「サラダ記念日」(俵万智 著)です。
敷居が高く感じていた短歌を、日常的な言葉で詠むことにより
身直な存在にしてくれた一冊です。


◆      ◆        ◆

100年読まれ続けて欲しい現代の短歌を紹介した本です。
俵万智、塚本邦男、水原紫苑、寺山修司、山崎方代、穂村弘ら
昭和以降の歌人の短歌です。
著者自身も現代を代表する歌人のひとりです。

 

現代秀歌 (岩波新書)現代秀歌 / 永田和宏 (岩波新書)
907円 Amazon、907円 Kindle版
2015年刊

 


恋・恋愛、青春、新しい表現、家族・友人、日常、社会・文化、旅、
四季・自然、孤独、病と死の10のテーマ毎に歌を紹介しています。
選ばれた100首に加え、文中で引用される歌の数はそれ以上です。

恋・恋愛の章で引用されている歌にこんなものがありました。

  バルコンに二人になりにきおのづから
  会話は或るものを警戒しつつ

バルコニーで男女二人が互いに気持ちを伝えようと思いながら
気持ちを率直に伝えることをためらっています。

詠まれたのは昭和12年。警戒しているのは徴兵です。
結婚して自分が戦場で命を失うリスクを
彼女に追わせることにためらっているのです。


◆      ◆        ◆

短歌は切り取りの文学と感じます。
時代の背景や機運を、
  人生や暮らしの一場面を、
    取り囲む情景を、
      詠み手のその時の気持ちを
31文字表現しています。

何を切り取り、どの言葉を選び、どう31文字で構成するか
余分なものを削ぎ、選び、研ぎ澄ませた結果です。

効果のほどはさておき、
私が日常をブログに書くとき、
短歌、俳句、写真の切り取りの視点を見習おうとしています。


◆      ◆        ◆

場面を切り取るということは、
自然、人、社会、時代etc.と、そして自分とどう向き合うかという
自分とその周りの事象との位置関係をとらえるということです。

この本では優れた短歌を紹介を通じて、
先ほど挙げたテーマに沿って
歌の題材と読み手の向き合い方を語っています。

どうです? 短歌って意外と身近な存在に思えてきませんか?



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