「そんなバカなことがあるか!」
小説を読んでいてそう思ったら腹が立ちます。
それが、この作家の作品なら
「そうこなくちゃ」と態度ががらりと変わります。
☆☆☆ ◆
期待とおり、鹿男が登場します。鹿がしゃべります。
それだけじゃありません・・・・
- 鹿男あをによし / 万城目 学 (幻冬舎文庫)
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東京の大学院の研究室で爪はじきされていた「おれ」に、
教授が半ば強制的に気分転換の話をもってきました。
2学期の間だけ臨時で奈良女学館の高校教師に就く話です。
ところが、着任初日から堀田イトという生徒の遅刻をきっかけに
生徒ともしっくりいきません。
☆☆☆ ◆
早朝、散歩中に「おれ」が大仏殿の裏手の礎石に腰かけていると、
雌鹿が「おれ」に近寄ってきました。
☆☆さあ、神無月だ-出番だよ、先生
そのメス鹿が中年の男の声で話しかけてきました。
これをきっかけに、「おれ」は雌鹿に言われた宝を探して
奔走するはめになります。この国を救うために。
☆☆☆ ◆
奈良女学館と姉妹校が3校で運動部が競う大和杯。
剣道部の顧問になった「おれ」は、宝を手にするためには
大和杯に絶対勝たねばなりません。
しかし、京都女学館の剣道部は大和杯60連勝中の強豪です。
☆☆☆ ◆
いつまでもしっくりしない生徒との関係。
☆なかなかつかめない宝の正体。
☆☆奈良・京都・大阪3つの女学館の校章にある鹿・狐・鼠の謎。
☆絶対大和杯で勝たなければならない弱小剣道部。
徐々に鹿男になっていく「おれ」?????
少しばかり軽んじていた万城目学の女子高を舞台にした小説を、
この齢でこんなにハラハラ、ドキドキしながら読むことになるとは。
(女子校だからドキドキした訳ではありません。念のため)
☆☆☆ ◆
日々のドタバタの背景に流れる平城京以来の1800年の歴史。
そして作者の緻密な仕掛け。
奈良にしか求めようのない舞台作りと荒唐無稽展開は、
この作者だけに許された領域に思えます。
[end]
*** 読書満腹メーター ***
お気にいりレベル E■■■■□F
読みごたえレベル E■■■□□F
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