2年間寝かしてから読みました ~ 「落葉小僧」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。



この文庫本は古本屋の100円コーナーで見つけたもの。
買ってから2年近く経っています。
この本は手に取るタイミングを大切にしたいと考えていました。

☆☆☆       

落葉小僧 / 南木 佳士 (文春文庫)
 
¥472 Amazon.co.jp
(1990年刊、1996年文庫化)

落葉に怯える女性にまつわる回想、
釣り場に集う心を病んだ中国人とアメリカ人、
流れてきた老婆入水失敗と川べりで彼女が作る鮎の汁。

過去突然の死、迷う命。
表題作の都会の匂いのする若い命には高い湿度を感じ、
山間の村で生きてきた老いた命には軽さを感じます。

☆☆☆       


夫に女の影を感じながら、夫を迎えにいく川辺で
夫が手ほどきする息子の初めての釣り。
☆☆山崩れで流された墓を移そうと考える夫婦。
結核で片肺を失い、戦争でひとり生き残った男の余生。
☆☆客の医師から預かったドジョウに愛着を憶える医師の息子。
漢の金印を衝動的にみたくなり、福岡と東京を行き来する三人。

都市部の生活に疲れた人とあっけらかんと生きる田舎の人を
対照的に描かれています。
自然を相手に単調な暮らしをしている人たちの
死を自然なものととらえている生き様が、
作者の目にうらやましそうに映っています。

☆☆☆       


生と死を隣り合わせに描きながら、
肩の力の抜けた生がくっきりと浮かびあがるこの作者の作風は、
苦しみながら生きる側の視線から生まれています。

ちょっと疲れがたまった時に手にとると、
あっけらかんと生きる脇役たちから
生きるコツを授けてくれる作家です。


<目次>

落葉小僧
フナを釣る
ニジマスを釣る
ハヤを釣る
ヤマメを釣る
金印


[end]


*** 読書満腹メーター ***
お気にいりレベル   E■■■□□F
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