この本を見つけた時、まず思い出したのはTV番組のタイトルです。
「パパは何でも知っている」というアメリカのTVドラマのタイトルに
おぼろげな記憶があります。
1958年~1964年に日本語吹き替え版が放送されていました。
本国アメリカではラジオで1949年から、TVで1954年~1960年に
放送されていました。
TVドラマの原題は "Father Knows Best."
この本の表題作の原題は "Mather Knows Best."
(本の原題は"Mom's Story, The Ditective")
この本に収められた作品の初出をみると、TVドラマと同時期です。
ここまでそっくりなら、どちらが先であろうと、
同じような邦題をつけるのも納得です。
☆☆☆ ◆
N.Y.のブロンクスに住む「ママ」。
息子デイビッドが弁護かアーティストになればと望んでいました。
実際にはデイビッドはママの意に反して警察官に。しかも殺人課。
ところが、この職業の選択がママを喜ばせることになりました。
ママは謎解きが大好きだったのです。
ママは何でも知っている / ヤッフェ・ジェイムズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
¥972 Amazon.co.jp / ¥810 Kindle版
デイビットと彼の妻シャーリイは毎週金曜日の夜に、
ママの手料理を食べにきます。
話がデイビットが手掛ける事件に及ぶと、ママは目を輝かせます。
話をひと通り聴き終えると、ママは3つ、4つ問います。
中にはなんだか事件と関係がなさそうな問いも。
デイビットたち警察が捕えた犯人や容疑者は犯人ではないと、
ママは言い切ります。
収められた8篇の展開パターンはほぼこの形式に則っています。
☆☆☆ ◆
ママの謎解きには特徴がみられます。
事件の関係者のちょっとした言動から人の気持ちを読み取ります。
それが人として自然な振る舞いであることを周りが納得できるよう、
デイビッドも知らないママの知り合いを引き合いに出しまます。
遠い親戚や近所の肉屋のおやじとか。
そして、事件現場などに足を踏み入れることはなく、
金曜日の夕食の食卓で、食器より早く事件を片付けること。
☆☆☆ ◆
いつまでもママに頭があがらないデイビットのプチマザコン。
姑に負けまいと張り合うデイビットの嫁シャーリイの対抗心。
ママがこんなに謎解きに興味を持つようになった思い出話は
パターン化した短篇集の中での口直し的役割を果たしています。
☆☆☆ ◆
今は亡き人とはいえ、この家系、パパや祖父の影が薄いです。
デイビットもすでにシャーリイに押され気味です。
<資料>
Wikipedia:「パパは何でも知っている」
[end]
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