何を信じる? ~ 「サラバ!」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。



妻のサマンサのお勧めで読んでみました。
お勧めの言葉もありましたが、
彼女がこの小説を夢中で読む様子に、読む気になりました。

なるほど、サマンサが夢中になっていたのも納得です。

☆☆☆       


サラバ! 上 / 西 加奈子 (小学館)  

サラバ! 下 / 西 加奈子 (小学館)  
   
各¥1,728  Amazon.co.jp
(2014年刊行)

主人公圷歩(あくつ・あゆむ)は、は1977年、真面目な父、美人の母、
変わった姉の4人家族の長男として父の赴任先イランで生まれました。

イラン革命を機に帰国、大阪で過ごした後に、
再び父の転勤で今度はエジプト・カイロで暮らします。

イランとエジプトでイスラム教、コプト教を、大阪では妙な偶像を
信仰する人々を、彼が暮らす先々で目の当たりにします。

☆☆☆       

言葉が通じないのに芽生えた友情も引っ越しで断絶、
反抗的な姉との距離、家族の離散を経験します。

それでも、そこそこ恰好いいし、モテるし、
歩は人間関係における自分の立ち位置を、
あたり障りのない安全な場所に決めていました。

なのに、失恋、失業・・・・・・
歩自身は大きな失敗をした訳でもないのに、
彼の歩む道は徐々に逸れ、歩は立ち位置を見失います。

誰を信じて、何を信じていけばいいのか?

☆☆☆       


イラン、大阪、エジプト、東京、サンフランシスコなど、
舞台を移しながらテンポよく、これでもか、と
歩がうんざりするほど周りの人たちはヤラカシテくれます。

宗教上の信仰に限らず、信じるものを持っている人と、
生きていく上で信じるものを探している人双方が多々登場します。

どちらの人たちも、うまくいっている・いないは別として、
歓び、哀しみ、悩み、迷い、そして鎮まっている時でさえ、
ページの上で生きいきとしています。

登場人物本人は沈み、悩んでいます。
その姿は実在する人として呼吸し、鼓動しているかのようです。

☆☆☆       


高校時代の親友須玖(すぐ)、伯母の夏枝のふたりは清涼剤です。
振り回されっぱなしの読み手にほっとひと息つかせてくれます。

ともにニーナ・シモンの "Feeling Good"がお気に入り。
この小説の中でこの曲が登場したら、どんな曲が聴いてみてください。
ふたりの渋く深い人柄が浮かべやすくなります。

さて、「サラバ!」を読み終えたので、
須玖(すぐ)
君お勧めの
「ホテル・ニューハンプシャー」(ジョン・アーヴィン作)を探してみます。


[end]


*** 読書満腹メーター ***
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読みごたえレベル  E■■■■□F


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