怖い思いをする映画や本が苦手です。
だからホラーものは避けます。
50年前に発表されたこの小説が
こんなに恐ろしいとは想像していませんでした。
女性の心の奥底には眠っているものがあるのかもしれません。
☆☆☆ ◆
- 人形姉妹 / 円地 文子 (集英社文庫)
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戦争と両親の死により、家業の人形作りと妹の幸せのため、
と自分のことは後回しにしてきた姉の律子。
姉の庇護の下で成長した後、アメリカで演劇を学んだ妹郷子。
帰国後、郷子が語る姉との確執と女の業。
律子・郷子の家に遺された父が大切にしていた雛人形にまつわる
不吉な言い伝え。
郷子はN.Y.にいる時に知り合った女性作家と京都で再会します。
郷子が語る、人形作り一家の暮らし、姉律子との確執を語ります。
☆☆☆ ◆
戦争という歴史に振り回されたこともあり、
波乱に満ちた女性ふたりの人生です。
律子が、抑えがたい自分の気持ちに正直に行動すると
読者としてほっとひと安心します。
しかし
抑えに抑えてきた人生の中の発露の底流にあるのは激情です。
その行動の後に待つ悶着に迷いがあっても、
気持ちも行動も止めることができなくなります。
妹郷子の自由奔放にしかいられない業。
姉律子のこれだけは諦めてはならないと思いつめる業。
☆☆☆ ◆
妹のために生きた姉と、姉のために生きることになる妹。
姉妹ふたりの、恐ろしくなるほど研ぎ澄まされた思いを感じました。
女性作家でなくてはたどり着けないかもしれない業です。
[end]
*** 読書満腹メーター ***
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(ペタお返しできません。あしからず。)
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