超能力、教祖、呪術師 ~ 「ガダラの豚」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。



若い頃、超能力、超常現象、UFOといった理解を超える現象を
紹介するTV番組を見つけると、よく観ていました。

トリック撮影の疑いもある胡散臭さを感じる一方で、
人類が解き明かせない特殊な力が
存在して欲しいとの期待もありました。

ヨーロッパのミステリー・サークルが
実はおじさんたちの悪戯だったなんてニュースもありました。

真偽の定かでない世界は、あれこれ考える余地があっていいですね。

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ガダラの豚〈1〉/ 中島 らも  (集英社文庫)
¥525 Amazon.co.jp / ¥432 Kindle 版

怪しげな僧侶、インチキ宗教の教祖、
超能力青年や彼と同じことを再現する手品師など、
一見妙な人たちがこの本の中で我もの顔でふるまいます。

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タイトルの「ガダラの豚」は、マタイ福音書の逸話からとったもの。

  主イエスがガリラヤ湖を横断し、ガダラ人の地に着くと、
  その地の墓場に、
悪霊に憑かれた者が住んでいた。
  悪霊はイエスに許可を得て豚の群れにのり移り、湖で溺れ死んだ。

らもさんの筆は、テンポよく彼らを躍らせ、
インチキ臭い連中を悪霊扱いして面白おかしく正体を暴きます。

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呪術を研究する学者やアフリカの呪術師が登場すると、
そりゃアフリカの閉鎖的な地域ならありそうだと思っていたら、
これがなんだか超常現象や教祖の奇跡と大差なさそうな話です。

らもさん、読者を笑いに誘いながら、なかなか見せてくれます。

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先ほど紹介したマタイ福音書では、悪霊が豚に乗り移り死んだ後、
それがガダラ人に広まり、イエスはガダラから追い出されています。


この物語の頼りなげな悪霊祓い役には、
まだこの先、受難が待っていそうな気配です。


[end]


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