四人目の男の愉しみ ~ 「ボートの三人男」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。



仕事の気疲れが積もってきたら、気晴らしを旅に求めたくなります。
どこへ行こうか、いって何をしようか、と決めてもいない旅を
思い浮かべるだけでも、気が晴れてきます。

旅を決断すると、愉しみでもありますが、一人旅でない限り、
休暇をとったり、行先を決めたり、旅の相手と相談が始まります。

休暇も確保し、行先も決まってひと安心と思ったら、
次は何を持っていこうか、どんなトランクを使おうかと
新たな悩みがやってきます。

         


なんだか旅が愉しみだか苦痛だかわからなくなりそうなのは、
時代を超え、国境を超えた共通のもののようです。

ボートの三人男 / ジェローム・K・ジェローム著 丸谷才一 訳
 (中公文庫)
 ¥823 Amazon.co.jp / ¥500 Kindle版

ジョージ、ハリス、「ぼく」の三人+犬のモンモランシーは、
すったもんだもめた挙句、
ボートでテムズ河を2週間旅することになりました。

両岸の情景を眺めながらゆっくりしたら、疲れも癒されそうです。

ん? ちょっとまてよ。

手漕ぎのボートです。モータはついていません。
1889年に出された小説ですから。
テムズ河の旅といっても、流れをさかのぼる旅です。

         

欲張りで、わがままで、好みが異なり、
自分はヘマはしない/していないと考える男三人が、
スペースの限られたボートで2週間過ごすわけですから、
もめない訳がありません。

小説で読む他人事のもめごとは、無責任に楽しめます。
期待を超えて半端なくもめます。めちゃ笑えます。
120年前の小説だなんて思い出しもせず、笑いました。

         


それでも、ジョージ、ハリス、「ぼく」の3人は、
旅の間、まあよくやってくれたと思います。

もう一人の旅のお供を責めることもなく、
無理やりオールを持たせることもなく、旅を続けたのですから。

四人目の男、私は高見の見物で楽しい旅をさせてもらいました。


[end]


*** 読書満腹メーター ***
お気にいりレベル   E■■■■□F
読みごたえレベル  E■■■□□F

ペタしてね
(ペタお返しできません。あしからず。)

*****************************
作家別本の紹介の目次なら
日本人著者はこちら

海外の著者はこちら

*****************************


<----左側の
①「ライブラリーを見る」をクリックし、
②ライブラリの各本の"LINK"をクリックすると
 その本を紹介した記事にとびます。