仕事の気疲れが積もってきたら、気晴らしを旅に求めたくなります。
どこへ行こうか、いって何をしようか、と決めてもいない旅を
思い浮かべるだけでも、気が晴れてきます。
旅を決断すると、愉しみでもありますが、一人旅でない限り、
休暇をとったり、行先を決めたり、旅の相手と相談が始まります。
休暇も確保し、行先も決まってひと安心と思ったら、
次は何を持っていこうか、どんなトランクを使おうかと
新たな悩みがやってきます。
◆
なんだか旅が愉しみだか苦痛だかわからなくなりそうなのは、
時代を超え、国境を超えた共通のもののようです。
- ボートの三人男 / ジェローム・K・ジェローム著 丸谷才一 訳
(中公文庫)
¥823 Amazon.co.jp / ¥500 Kindle版
ジョージ、ハリス、「ぼく」の三人+犬のモンモランシーは、
すったもんだもめた挙句、
ボートでテムズ河を2週間旅することになりました。
両岸の情景を眺めながらゆっくりしたら、疲れも癒されそうです。
ん? ちょっとまてよ。
手漕ぎのボートです。モータはついていません。
1889年に出された小説ですから。
テムズ河の旅といっても、流れをさかのぼる旅です。
◆
欲張りで、わがままで、好みが異なり、
自分はヘマはしない/していないと考える男三人が、
スペースの限られたボートで2週間過ごすわけですから、
もめない訳がありません。
小説で読む他人事のもめごとは、無責任に楽しめます。
期待を超えて半端なくもめます。めちゃ笑えます。
120年前の小説だなんて思い出しもせず、笑いました。
◆
それでも、ジョージ、ハリス、「ぼく」の3人は、
旅の間、まあよくやってくれたと思います。
もう一人の旅のお供を責めることもなく、
無理やりオールを持たせることもなく、旅を続けたのですから。
四人目の男、私は高見の見物で楽しい旅をさせてもらいました。
[end]
*** 読書満腹メーター ***
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(ペタお返しできません。あしからず。)
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