13日の金曜日、厄年、鬼門、イチジクを南側に植えると・・・・・・。
信じていなくても、抗うには少しばかり勇気を要するのが迷信。
微妙にやっかいな存在です。
小心者の私は、厄年になればお祓いにいくし、
小さな災難に見舞われれば、ひょっとして13日の金曜日だから?
と考えてしまいます。
◆
そんな面倒な迷信ならば、いっそのこと玩具にして楽しもう、
というのがこの本のあり方です。
- 迷信博覧会 / 種村 季弘 (ちくま文庫)
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迷信や言い伝えの類いをずらりと並べ、紹介しています。
べつに真偽を究めようというわけではなく、
言われの源や信じられていた時代の滑稽な様子を
肩の力を抜いてたどっています。
◆
大事件が起きたり、たて続けに事件が起きたりすると、
学校、親子関係、企業、ネット社会 食生活 etc.いまの社会に
原因を求めて再発を防ぐ議論を繰り広げます。
これが昔、科学の発達も情報も限られていた時代には、
知らない(合理的に説明できない)力が働いているのでは?
と考えてしまうところが、今よりたくさんあったのでしょう。
◆
ところが、
科学が発達し、世界規模で情報が共有できる時代になっても、
どこかで迷信や言い伝えを意識しています。
未解明のメカニズムへの不安や畏敬かもしれません。
いや、そんなことはない、と科学の力や合理性を振りかざしては
論理が傲慢にみえてしまいます。
かといって、何でも「超」のひと文字を頭につけて片づけるのも、
将来の科学の進歩に対する侮りです。
◆
迷信も、過去のある時代において、
その時代の経験の積み重ねからの推測だとすれば、
それは一種の仮説です。
科学も仮説と検証の積み重ねであることを考えると、
科学と迷信は背中合わせといえます。
◆
キツネの分泌物から妄想誘因物質を発見!!
ブナの発散物質が妄想を加速!!
将来、こんな見出しが新聞紙上をにぎわせるかもしれません。
キツネが化けて人をだますのは嘘や迷信ではなく、
本当に可能性のあることとして受けとられます。
- キツネが人を化かすのを信じていなかったなんて。
今の人たちの迷信扱いの方が非科学的とされたりして。
[end]
<目次>
第1章 動物
天狗のしゃれこうべ
兎のダンス
物品取り寄せの限界
狸の集金旅行
絵馬は仲立ち
第2章 運
鬼門には背中を向けろ
嫁婿えらび神の声
媚薬の使い方
閾際の吉凶
初恋のたたり
第3章 物
ナウイぞ、スルメ男
ありがたいお札
霊柩車の運転法
浅右衛門の胆蔵
第4章 暦
13日の金曜日
4月1日は馬鹿になろう
厄年の綱渡り
丙午の女
第5章 食
黄金色の茄子
茸とクソの戦争
吸血鬼とニンニク
塩は敵に送れ
南瓜がこわい
第6章 呪
チチンプイプイ
長い長い名前
鼻を高くするおまじない
くしゃみ論争
あとがき
*** 読書満腹メーター ***
お気にいりレベル E■■■■□F
読みごたえレベル E■■■□□F
(ペタお返しできません。あしからず。)
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