どうせなら遊ぼう ~ 「迷信博覧会」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。



13日の金曜日、厄年、鬼門、イチジクを南側に植えると・・・・・・。
信じていなくても、抗うには少しばかり勇気を要するのが迷信。
微妙にやっかいな存在です。

小心者の私は、厄年になればお祓いにいくし、
小さな災難に見舞われれば、ひょっとして13日の金曜日だから?
と考えてしまいます。

         


そんな面倒な迷信ならば、いっそのこと玩具にして楽しもう、
というのがこの本のあり方です。

迷信博覧会 / 種村 季弘 (ちくま文庫)
 ¥608 Amazon.co.jp

迷信や言い伝えの類いをずらりと並べ、紹介しています。
べつに真偽を究めようというわけではなく、
言われの源や信じられていた時代の滑稽な様子を
肩の力を抜いてたどっています。

         


大事件が起きたり、たて続けに事件が起きたりすると、
学校、親子関係、企業、ネット社会 食生活 etc.いまの社会に
原因を求めて再発を防ぐ議論を繰り広げます。

これが昔、科学の発達も情報も限られていた時代には、
知らない(合理的に説明できない)力が働いているのでは?
と考えてしまうところが、今よりたくさんあったのでしょう。

         


ところが、
科学が発達し、世界規模で情報が共有できる時代になっても、
どこかで迷信や言い伝えを意識しています。
未解明のメカニズムへの不安や畏敬かもしれません。

いや、そんなことはない、と科学の力や合理性を振りかざしては
論理が傲慢にみえてしまいます。

かといって、何でも「超」のひと文字を頭につけて片づけるのも、
将来の科学の進歩に対する侮りです。

         


迷信も、過去のある時代において、
その時代の経験の積み重ねからの推測だとすれば、
それは一種の仮説です。

科学も仮説と検証の積み重ねであることを考えると、
科学と迷信は背中合わせといえます。

         

  キツネの分泌物から妄想誘因物質を発見!!
  ブナの発散物質が妄想を加速!!

将来、こんな見出しが新聞紙上をにぎわせるかもしれません。

キツネが化けて人をだますのは嘘や迷信ではなく、
本当に可能性のあることとして受けとられます。

  - キツネが人を化かすのを信じていなかったなんて。

今の人たちの迷信扱いの方が非科学的とされたりして。


[end]

<目次>

第1章 動物
  天狗のしゃれこうべ
  兎のダンス
  物品取り寄せの限界
  狸の集金旅行
  絵馬は仲立ち
第2章 運
  鬼門には背中を向けろ
  嫁婿えらび神の声
  媚薬の使い方
  閾際の吉凶
  初恋のたたり
第3章 物
  ナウイぞ、スルメ男
  ありがたいお札
  霊柩車の運転法
  浅右衛門の胆蔵
第4章 暦
  13日の金曜日
  4月1日は馬鹿になろう
  厄年の綱渡り
  丙午の女
第5章 食
  黄金色の茄子
  茸とクソの戦争
  吸血鬼とニンニク
  塩は敵に送れ 
  南瓜がこわい
第6章 呪
  チチンプイプイ
  長い長い名前
  鼻を高くするおまじない
  くしゃみ論争
あとがき


*** 読書満腹メーター ***
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