この本を読んだ後ほど悔しいと思いをしたことがありません。
この本は今回読んで感じた何倍も面白いにちがいないのです。
こっそり悔し涙をふいて、その思いを隠し、
今回読んで愉しめたことだけでもとても満足していることが
この場で伝わるといいのすが。
◆
アメリカを代表する俳優・監督(野球じゃなくて映画)・脚本家の
ウディ・アレンの短篇集です。
- これでおあいこ / ウディ アレン (河出文庫)
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(所収作品は、このブログの最後尾に記載しています)
冒頭の一篇「ミスター・ビッグ」では、見事な肉体美をもつ女性が
探偵事務所を訪れ、「神」の捜索を依頼します。
探偵は依頼主に捜索対象の外見の特徴を問い、
依頼主がみたことがないと応えれば、
なぜ捜索対象が存在しているとわかるのかと問います。
こんな禅問答のような哲学的なやりとりが、
夫の不倫調査依頼と同じように探偵事務所でやりとりされます。
◆
これがふつうの神の存在を問う宗教論争ならあたりまえ。
これを探偵事務所という場違いな設定で真顔でやりとりされると、
滑稽でもあり、恐ろしくもあり、読み手を飽きさせません。
登場人物が真面目になるほど滑稽な短篇たちです。
◆
1966~1971年にニューヨーカー誌に掲載された短篇が中心。
これはウディ・アレンがコメディアンとして評価が定着後、
映画の脚本や監督を手掛けはじめた時期にあたります。
後に、この本の一場面が彼の映画にも使われているそうです(*1)。
どうやら、他の小説をモチーフにいじってみたり、まねてみたり、
登場人物にも、アメリカの人ならその名を聞いて
ニヤリと口角を上げるにちがいない人たちがいそうなのです。
◆
もし、もっと彼の、あるいはアメリカの映画を観ていたら、
海外の小説を読んでいたら、
哲学や宗教の主義・主張、論争を知っていたら etc.
・・・・たら、・・・・たらの大行列を実現していたら
(ここでもまた・・・・たらですが)
もっとこの短篇集を愉しみつくすことができたに違いありません。
◆
でも、・・・・たらの大行列を実現していたら
時間がいくらあっても足りません。
その前に、
この短篇集の後にだされたウディ・アレンの短篇集を探すとしましょう。
*1: 「わが哲学」で繰り広げられる主張は、後に映画
「ウディ・アレンのバナナ」と「ウディ・アレンの愛と死」に見られるそうです。
(英語版Wikipediaより)
[end]
*** 読書満腹メーター ***
お気にいりレベル E■■■■□F
読みごたえレベル E■■■■□F
<参考:所収作品>
ミスター・ビッグ
蒸気機関なにするものぞ
組織犯罪を考える
シュメード回想録
メッタリング・リスト
死神のノック
成人講座
ゴセッジ=ヴァーデビディアン往復書簡
ドラキュラ伯爵
ハシディズム説話、および著名学者によるその解釈の手引き
肥満質の手記
ビバ・バルガス!
一九二〇年代の思い出
そりゃ聞こえません
いたずらインクの発見と効用
わが哲学
ヘルメホルツとの対話
(ペタお返しできません。あしからず。)
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