文庫本の厚さに好みがあります。
長編だろうと、短篇集であろうと、200ページくらい。
ポケットに入れていることを忘れてしまいそうな重さ、
ページを開いて手にした時の
私の男にしては小ぶりな掌での収まり具合がしっくりきます。
これもそんな1冊です。
◆
- ジャンピング・ベイビー / 野中 柊 (新潮文庫)
¥391 Amazon.co.jp
鹿の子とウィリーは3年前に離婚しました。
二人が飼っていた猫ユキオの遺骨を預けておける期限がきたので
霊園に行くために鎌倉駅で待ち合わせす。
でも鹿の子は大幅に遅刻します。
◆
離婚した鹿の子とウィリー、その後独り暮らしの鹿の子、
新しい家族を得たウィリー、亡くなったユキオの思いで。
鎌倉から湘南の海添いに走る江ノ電からの光景と対照的に
重苦しさが漂う設定です。
◆
ところが、読み終えて文庫本を閉じた時には、
生々しく命の体温が伝わってきます。
回想をふくむストーリー展開から、読者を振り回す速さが排除され、
描写の粒度が読み手に情景を描ける適度の細やかさをもち、
読み手が鹿の子の心の動きにしっかりと寄り添えます。
◆
野中柊のもつ筆の呼吸数と脈拍数は、
私の読書の呼吸と相性がいいのです。
掌ばかりでなく、心にもしっくりきます。
[end]
*** 読書満腹メーター ***
お気にいりレベル E■■■□□F
読みごたえレベル E■■■□□F
(ペタお返しできません。あしからず。)
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