時代が違うとはいえ、ごくふつうの日常が、
目のやりどころと書く力がそなわると、こうまで
力強く印象的に描かれるものなのか、と感心してしまいます。
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- ことばの食卓 / 武田 百合子・画 野中ユリ (ちくま文庫)
¥691 Amazon.co.jp
1925年(大正14年)生まれの著者が、
子供の頃から老後までの情景と食を綴ったエッセイです。
といっても、美食、珍味を追うものではなく、
暮らしの場面の中に織り込まれた食が登場します。
時代と生活に根差した日常感は、当たり前のようで新鮮です。
◆
戦時中、牛乳を1升を持ってきた女性との会話とラスト1行は、
淡々とした語り口とはうらはらに
時代と若者の実感がぐいぐいと迫ってきました。(続牛乳)
坂の上の社のサクラを話し言葉で綴った「花の下」では、
年配者の素直な気持ちが柔らかに伝わってきます。
どんな食を紹介するのか、とタイトルから期待していた
「京都の秋」では意外な食べ物が登場します。
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以前から評価の高い随筆家として名前は知っていても
実際に作品を手にとらずにいました。
もっと作品を読んでみたくなる1冊でした。
[end]
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