今年の12月には和食が世界無形文化遺産に登録されるそうです。
和食の魅力を世界に知ってもらうことを通じて、
日本の農産物の輸出拡大に結びつけたいとの思惑があるのだとか。
四季の変化と地域性と背中あわせの
材料多彩さ、料理法多様性、目を奪われる盛り付け。
和食には魅力がいっぱいです。
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フランス国境近く、大西洋に面したスペインの街サン・セバスチャン。
人口18万人のこの街に、旨い食を求めて世界中から観光客が集まるそうです。
- 人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡 / 高城 剛 (祥伝社新書)
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小さな空港しか持たず、決して足の便がいいとはいえないこの街が、
この10年ほどの間に世界から美食を求めて人が集まる街になった
秘訣を明かしています。
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観光産業のあり方、スペインの観光政策、バスク地方の歴史、
サン・セバスチャンの飲食業のオープンな姿勢、キー・パーソンの存在、
個々の店の紹介など、多角的複眼視線から秘訣にアプローチしています。
そして最後には日本の都市、観光産業への提言で結ばれています。
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世界を相手に考える時、つい国単位で捉えがちです。
ところが、こうした観光はもとより、中国などの経済成長をみても、
その起点や中心は都市単位です。
個々の企業や店の魅力の集積地としての都市・市町村です。
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すでに世界遺産に登録されている料理は、
フランスの美食術、スペインやイタリアなどの地中海料理、
メキシコの伝統料理、トルコのケシケキ(麦がゆ)。
これらを味わいたいと思ったら、どこへ行けばいいのか、よくわかりません。
是非食べてみたいと思う人が、
目的地として特定の都市・市町村を思い浮かべなければ、
とりあえずパリ、マドリッド、ローマ、メキシコ・シティ、アンカラに向かうのでは?
それら料理の世界遺産の登録をきっかけに、
都内にそれらの国の料理店が急増した気配もありません。
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他国の人が和食と聞いて、じゃあとりあえず、東京か京都を目指すばかりでは、
日本に何度も足を運ぼうとする広がりを期待できません。
あるいは、日本の農水産物の輸出量が目覚しい成長を見せるほど、
世界の各地で和食店が増えたり、家庭に和食が普及するには、
和食の世界遺産登録以外の手立てと合わせ技が必要です。
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市町村単位で、同時に個々の店単位で、
農水産・飲食・宿泊・交通など産業横断的に
その土地独自の魅力を高める連携プレーと情報発信(売り込み)です。
日本のいたるところにチャンスが眠っているに違いありません。
和食の世界遺産登録は、
私たち日本人が日本の各地の魅力を再確認する機会です。
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