なるほど、じんわりと効いてきます ~ 「漢方小説」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

読む本を選ぶ基準を訊かれることがあります。
たいていの場合、私の答えに質問者はガッカリするようです。

こんかい紹介する本を選んだ理由はこれ。

  タイトルが漢字4文字だから。

ありそうで意外と挙げるのが難しいんです。
漢字4文字のタイトルのお気に入り。
あ、みぃつけた、とばかりに手にとりました。

う~ん、みなさんの本の選びの参考になりそうもありませんね。
また、ガッカリさせてしまったようです。

    

漢方小説/中島 たい子 (集英社文庫)
¥420 Amazon.co.jp

川浪みのるは自分の部屋で倒れ、救急車で病院に搬送されます。

  「なんだろ。わからない」

病院の初心者マークが付いていそうな医師は頼りない診断(?)です。

他の病院にいっても、彼女の病気ははっきりせず、
どこでも最後に、最近感じたストレスは何? と訊かれるばかり。

31歳独身で脚本家のみのりに思い当たる
ストレスのきっかけは元彼の結婚。
本人はそう思いたくないようですが。

    

それでは、と東洋医学の病院で病名を訊いて返ってきた答えはこれ。

  「ない」
  「とういかいらない」


ますます、みのりも、読み手も訳がわからなくなります。

でも、その後につづいて医師は簡単な説明を加えます。
あ、これなら読み手の私もなんかしっくりきます。

    

病名を見聞きして、どこが悪いとわかったとしても、
そこが悪くなった理由や経緯は様々でしょう。

さらに、ストレスという心の要因がからんでいたとしたら、
その理由や経緯にくわえて事実の受け止め方まで考えれば、
源から病状までの病気の全体像は十人十色、
いやいや一億二千人一億二千色です。

    

同じタイプの服装をしていても、同じ事実の前での反応は様々。
集団として扱うなら統計的にパターン化することもあります。

そんな場合だって、「日本人って・・・・」と言われれば、
「ちょっとまったぁ~」と言いたくなります。

ましてや特定個人と向き合うのなら、
一億二千人一億二千色に限ります。

なんて、いまさらながら考えながら、この本を読みました。


[end]

*** 読書満腹メーター ***
お気にいりレベル  E■■■□□F
読みごたえレベル E■■■□□F


ペタしてね

*****************************
作家別本の紹介の目次はこちら
*****************************

<----左側の
①「ライブラリーを見る」をクリックし、
②ライブラリの各本の"LINK"をクリックすると
 その本を紹介した記事にとびます。