パズルに挑戦するなら ~ 「村の名前」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

ツレアイも、長女サクラもパズル好き。
私も嫌いではない方なのので、時折、私も彼女たちにつきあって、
新聞の片隅に載っているパズルを解くことがあります。

その程度のパズルがちょうどいいレベルです。
解くのに長時間を要するパズルは敬遠しています。

私は、40~50分が、何をするにも集中できる時間の限度だからです。

    

村の名前/辻原 登 (文春文庫)
¥460 Amazon.co.jp

「村の名前」、「犬かけて」の2篇が収められています。

    

○「村の名前」

畳の材料を求めて中国に出張した日本人ふたり。
彼らが連れていかれた村の名は桃源郷。
そこは桃源郷の名とはかけ離れた貧しい村でした。

幻覚だったようで実際にあったた場面と、
現実のようで幻だった場面が錯綜します。

その場しのぎのずるさ、
単純な利害得失を乱暴に計算したずるさ、
純粋に夢をかなえたいがためのずるさ、
などやたらと妙なしたたかさが姿をみせます。

それに加えて、
同じ土地の過ぎ去った時間の裂け目から、
現在の時間軸にするりとある場面が抜き出てきたような不思議さです。

    

○「犬かけて」

五円玉を小道具に売上をあげる営業マンが主人公。

むかし家を出たまま行方がわからなくなった弟を探すふり、
妻とつながっているようで、失ったような感覚。

    

何の心の準備もしないまま読みはじめたら、どちらも
時間、場所、言葉の対象や呼応が多く複雑な構造をもった作品でした。

難解なパズルに挑戦しているようで、
合格点に達しないまま制限時間を迎えてしまったような
読み方になってしまいました。

    

再読すると、初読では見落としていたことに気づいて、
おもしろさが倍増する予感があります。

時間と体力とペンをなえて、
線をひいたり書きこみをしたりしながら読んでみたい1冊です。


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