となりにいる主人公 ~ 「宇宙でいちばんあかるい屋根」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

本を手放すことなく読み続けていると、
骨太の作品やら、スリリングなものやら、甘酸っぱいにおいやら、
さまざまな匂いの作品を織りまぜて、読書のリズムができていきます。

そんななかで、ほんわりと輪郭が円みを帯びた本は、
入りすぎた肩の力をとってくれて、読書疲れに陥らないよう私を救ってくれます。

    

宇宙でいちばんあかるい屋根/野中 ともそ (角川文庫)
¥580 Amazon.co.jp

書道教室のある月曜と木曜、3階建てのビルの屋上は、
家にまっすぐに帰らずにそこに寄る中学生の<私>の貸し切りでした。
ある晩、<私>はその屋上にあがると、キックボードを携えた老女とであいます。

ホシノトヨと名乗るその老女は、<私>のもやもやしていることを、
単刀直入にすっぱりと言い切るのですが、カチンとくるような言い方ばかり。
正しけりゃいい、ってもんじゃありません。
まあ、可愛げのないばあさん、ってことです。

でも<私>はいつの間にか、彼女にあいたくて屋上にあがるようになります。

    

この作者の作品は、
これといった事件もなく、
主人公もいまひとつぱっとしないすぐ隣りにいそうです。

作品の温度がどこかほっこりとしていて、
小さな陽だまりのような温かさを感じます。

この物語の終盤では、
へぇ~、そうだったんだ、とちょっとした楽しみも用意されていました。

    

肩の力を抜いて読める小説は、心の凝りをときほぐしてくれますね。


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